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楽に答えがほしいなぁ…いや『知識だけあるバカになるな!』
~サラリーマンこそ「教養」が要る

  • 澁川 祐子

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2008年4月9日(水)

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 私がこの本を手にとったきっかけは、10年近くサラリーマンをしている後輩が薦めてくれたからだった。最近営業に配属替えになったばかりという彼が、「この本、おもしろいですよ」と貸してくれたのだ。

 本書は、人文系の学問を学ぼうと思っている学生たちのためにその心得を説いた〈入門の入門〉だ。だからといって、社会人には無縁と思うのはちょっと待ってほしい。この本が説いているのは、「タフな思考力を身につけるにはどうしたらいいか」である。つまり、「思考の鍛え方」を謳うビジネス書の類いと、アプローチの仕方は違えど、十分通じるものがあるからだ。

 実際読み進めてみると、「勉強」を「仕事」に置き換えてもそのまま意味が通るところが多い。たとえばこの一文。

〈先生の言っていることをどこまで理解しようとするか、あるいは、先生の直接言っていることの範囲を越えて、どこまで勉強しようとするかは、基本的に学生次第です〉

 これを、「先生→上司」「勉強→仕事」「学生→あなた」に書き換えてみよう。

真の教養はコミュニケーションの技術

「上司の言っていることをどこまで理解しようとするか、あるいは、上司の直接言っていることの範囲を越えて、どこまで仕事しようとするかは、基本的にあなた次第です」

 ほらほら。上司の言うことをただ受け身でこなすのではなく、自分で自分の仕事の可能性を広げなさい、と言われているような気がしない?

 この本が社会人の耳にも痛いのは、訴えていることが「楽して答えを出すな!」だからだ。それは、学問でも仕事も同じ。ビジネスだって楽して儲かることはない。ただし厳密にいえば、ビジネスは「お金」というわかりやすい結果を生むが、人文系の学問はその成果を測るのが難しいという大きな違いがあるけれど。

 著者は「楽して答えを出さない」ために、まずは「簡単にイエス」と言ってしまわないよう〈正しく疑うこと〉の必要性を説く。次に、「簡単にノー」と言いがちな〈二項対立思考の愚について〉述べる。そして仕上げに、タフな思考力を身につけるための武器として、真の「教養」を身につけよう、と結ぶ。

 著者のいう「教養」とは、〈適切な根拠を示しながら自分の意見を示し、相手と理性的にコミュニケーションするための基礎的訓練ができていること〉。広く浅い知識(これを著者は「軽チャー」と呼ぶ)ではなく、相手を説得するための言語能力、物事を理論的に分析できる能力を指している。

 真の「教養」を標榜するだけあって、思想哲学用語も噛み砕いて説明されている。なかでも興味深いのは、「二項対立思考」について、マルクス主義者の論争を例にその不毛さを突いているところだ。

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