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ニッポンの良風美俗いまいずこ

『風俗往来』森銑三著 小出昌洋編 中公文庫 895円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年4月11日(金)

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『風俗往来』森銑三著

『風俗往来』森銑三著

 本書の基本コンセプトは明治・大正時代の回顧となっている。森銑三が、新聞・雑誌に掲載した文章の中から、編者が一冊の随想集としてまとめたものである。

 森銑三は、いわば考現学のはしりのような人で、古新聞、古雑誌などを読みあさり、得た知識を軽妙な短文にまとめた人物として知られている。図書館が好きで、通い詰めた「図書館人間」でもあった。

 該博な知識は、読む人を圧倒する。蕎麦好きだったので、蕎麦に関するエッセイが多くまとめられていて、蕎麦好きにはたまらないだろう。

 印象的だったのは本書の冒頭にある「明治十年代の日本」という一編。大森貝塚の発見で知られているイー・エス・モースの日本印象記を紹介している。

 明治時代の日本人は、モースによれば高度な道徳的特性を持っているとして、次のようなエピソードを挙げている。

 広島から岩国に行くので、旅館に金と懐中時計を預かって貰おうと相談したら、宿の主人が、蓋のない盆を持ってきて、ここに入れておけばいいですよ、という。モースは驚いて、このまま置いておくのか、と聞いたところ、宿の主人は「ここで絶対安全だ」と保証した。

 そして数日後に、旅から帰ってくると、すべてが一切手を着けられないまま、そのまま盆の上に残っていた。そして、モースは日本人が生得正直であることを認めざるを得なかった。

 そして著者は日本が著しく物質化し、近代化したのを見れば、こういった良風美俗を維持する力はもうない、と嘆くのである。美俗いま、いずこ。

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