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存続か廃止か、揺れるインド・コルカタの人力車

  • 藤田 宏之

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2008年4月18日(金)

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 「人力車」のことを英語で「rickshaw」という。語源は日本語で、「リキシャ」がなまった表現だ。とはいえ、現代の日本では観光客向けのアトラクションとしてしかお目にかかることもない。しかし、インドのコルカタ(旧カルカッタ)では、いまでも現役で約6000台の人力車が走っている。

 州や市は近代化の妨げになると廃止を宣言したが、存続を願う声が大きくなっている。
 自家用車やタクシー、バスやオート三輪、自転車タクシー。種々雑多な乗り物が街にあふれかえっているコルカタ。運転手のやるべきことはいたって単純だ。クラクションを鳴らしながら、がむしゃらに前に進むのだ。停止標識なんてほとんど見当たらない。



コルカタの歴史地区にある学校に通う子どもを乗せていく人力車。この車夫は故郷に残してきた子どもたち5人には滅多に会えない。
コルカタの歴史地区にある学校に通う子どもを乗せていく人力車。この車夫は故郷に残してきた子どもたち5人には滅多に会えない。

 「交通規則を守ろう」と、でかでか書かれた看板は、旅行者の目にはブラックユーモアだ。大通りを安全に渡るには、できるだけ大きな歩行者の集団にくっついていくことだ。そうしておけばタクシーもおいそれとは突っ込んでこないだろう。けたたましいクラクションが鳴り響き、タクシーか小型トラックが、自転車しか通れないようにみえる路地から急に飛び出してくる。

 そんな喧騒のなか、不意にクラクションの音が途切れると、背後からチリンチリンという鈴の音が聞こえてくる。見えてくるのは人力車だ。車を引くのはたいてい、骨と皮ばかりにやせこけたはだしの男で、力仕事にはとても向いていそうもない。車夫が絶え間なく鳴らす鈴の音は、コルカタのどんな乗り物が出す音よりもやわらかく響く。

 人口1500万人を抱えるコルカタは、今なお多くの人力車が走る世界で唯一の大都市だと言われる。だが、市当局はそれを誇るべきこととは考えていない。

 州政府はかなり前から、人道的な理由で人力車を廃止すると言ってきた。コルカタ市長がたびたび口にしているように、「人が汗を流し苦労しながら、別の人を引っぱる」のを見るのは不快だというのだ。さらに近年では、6000台もの人力車が近代都市の交通に与える悪影響や、マイナスの印象を与えることを問題視する政治家も増えている。

 「欧米人はカルカッタの風景といえば物乞いと人力車を思い浮かべますが、それはカルカッタを象徴するものではありません」と、西ベンガル州のブダーデブ・バタチャルジー知事は2006年の記者会見で語った。「カルカッタを象徴するものは、繁栄と発展なのです」と語る知事は、近いうちに人力車を締め出す意向を明らかにしている。

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