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年功序列「再評価」の中で~『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』
城繁幸著(評:荻野進介)

ちくま新書、720円(税別)

  • 荻野 進介

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2008年4月23日(水)

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評者の読了時間1時間45分

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか──アウトサイダーの時代

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか──アウトサイダーの時代』城繁幸著、ちくま新書、720円(税別)

 新しい年度が始まった。せっかく、意中の企業に入れたのに、箸にも棒にもかからない上司の下に配属されたり、逆に、いやいや異動した部署だったのに、思いのほか仕事が面白かったり、働く人たちの悲喜こもごもが、最も顕著に現れる季節でもある。

 どうにもやりきれない際は、会社を辞めて出直すという究極のカードがある。そのカード、ほんの20年前は切る人がごく限られていた。正確にいえば、昔も転職者はいたが、日陰の存在だった。大手を振って会社を辞めるのは、なかなか勇気が要ったに違いない。

 それが今はどうだろう。テレビでは転職エージェントのCMが堂々と流れ、季節に合わせて服を着替えるように、気軽に転職する若い人が増えている。

 発売1カ月足らずで早くも3刷。好調な売れ行きを示す本書は、そうした20代、30代の転職予備軍に向け、業績の安定度や規模で就職先を選び、定年まで勤め上げる、といった〈昭和的価値観〉から脱却し、生き方、働き方の多様性、すなわち〈平成的価値観〉を持て、と説くアジテーションの書だ。著者には『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)というベストセラーがあり、本書はその辞めた若者を追った続編という位置づけである。

 素材となっているのは、昭和的価値観に従わず、転職し、あるいは独立を果たした、ごくごく無名の人たちを扱った短いルポである。

 著者のいう昭和的価値観は合計22個あり、それを打ち破った例として、それぞれひとつのルポがつく。例えば、昭和的価値観その1は、「若者は目上の言うことに従うこと」であり、それに対して、「仕事にやりがいなんて求めるな」と、お決まりの科白を吐き続ける上司に嫌気がさし、国内の大手流通企業から外資系生保に転職、年収が20倍になった男性のキャリアが紹介されるというスタイルである。

昭和の価値観をどう壊したか

 いずれもどこかで見聞きしたような話だが、出世よりも仕事に生きがいを感じる大新聞の文化部記者、自らの経験をきっかけに留学を支援するビジネスを立ち上げた女性、大企業を辞め、本場でのアメフトのプロを目指したものの、結局は夢破れた男性、自身も官僚だった公務員転職コンサルタントなど、職種やストーリーがバラエティに富み、分量もほどよくまとまっているからか、飽きさせない。

 なかでも参考になる人が多いと思われたのは、「学歴に頼る」という昭和的価値観を打ち破り、会社名や規模ではなく、自分が目指す職種を定めて転職を繰り返した男性の話だ。

 地方の公立大出身のその男性は就職氷河期に大学を出て、ある大手重機メーカーの地域販社に就職する。しかし、必要なのは体力と根性だけ、将来のキャリアパスが描けない現状に失望し、従業員200名足らずの小さな倉庫会社に転職する。

 なぜ大企業を辞めて中小なのか、と親が泣いて反対したが、男性には「スペシャリストになる」という確固たる信念があった。まったくの素人だったが、目標は人事。法務は壁が高過ぎて無理、財務経理は数字が苦手なのでパスという単純な理由だった。しかし、素人がすんなり入れるほど、甘い世界ではない。それをかなえてくれるのは熱意を評価してくれる中小しかなかったのだ。

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