「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」

「ジュラシックパーク」の舞台へようこそ!

一生に一度は見たいハワイの絶景 ナパリコースト

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2008年4月24日(木)

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 雄大な自然景観を誇るハワイ・カウアイ島のナパリコースト。先住民が神をまつり、かつてヒッピーたちが愛した地上の楽園だ。ここナパリコーストは、伝説の地上の楽園、シャングリラのような幻の桃源郷ではない。カウアイ島のどの地図にも大きく載っているよく知られた観光名所だ。

 レンタカーなどを使えばアクセスは簡単。島北岸のぬかるんだ駐車場に車を置いて、外に出るとケエという名の砂浜が広がる。その先にはいっさいの現代文明を拒絶するかのような巨大な断崖がそびえている。



沈み行く月の光に照らされて、カウラウ・ビーチに寄せる波が銀色に輝く。
沈み行く月の光に照らされて、カウラウ・ビーチに寄せる波が銀色に輝く。

 絶景を誇るこの海岸は、これまで数多くの出版物や映画で“地上の楽園”として紹介され、今も多くの観光客を集めている。切り立った断崖、海辺の洞窟、ひそやかなビーチが連なる全長約25キロメートルの海岸を、海が穏やかな夏にシーカヤックで訪れる人もいれば、船外機付きの頑丈なゴムボートでやって来る人々もいる。

 ヘリコプターに乗って映画「ジュラシック・パーク」の冒頭シーンさながらの眺めを楽しむ1時間のツアーまである。ナパリコーストは、この恐竜スペクタクル映画や「南太平洋」など、多くのハリウッド映画のロケ地として使われてきた。

 足に自信のある人たちは、全長18キロもある険しいトレイル(山道)を歩いて、最大の渓谷カララウをめざす。本来なら5日間しか滞在が認められないこの渓谷で、彼らは数週間、ときには数カ月もキャンプをして過ごす。

 この景観は、数百万年に及ぶ地形の変貌という、壮大な太古のドラマの産物だ。海底から頂上まで高低差が8000メートルもあった古代の楯状火山の山頂周辺が、長い時を経てナパリコーストになった。ハワイの島々はみなそうだが、カウアイ島もホット・スポットと呼ばれるマグマの噴出口の上に形成された。

 やがて地殻の運動によりホット・スポットから遠ざかり、冷え固まった島は、雨の力で浸食された。ところによっては年間降水量が2500ミリにも達するこの地で、雨は深い谷を刻み、断崖から幾筋もの滝となって流れ落ちた。玄武岩の断崖が冬の荒波に削られ、海水面の上昇と下降にさらされて、急勾配の斜面が生まれた。

 こうして急峻な断崖と、幾多の谷が刻まれた斜面、かみそりの刃のように鋭い稜線をもつ、標高1000メートル級の山並みが、太平洋からそびえるようになった。

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藤田 宏之(ふじた・ひろゆき)

『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長。1987年に日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社。『日経ベンチャー』『日経ビジネス』の編集などを経て、2007年4月から現職。『ナショナル ジオグラフィック』は米国ワシントンD.C.に本部を置く1888年設立のナショナル ジオグラフィック協会が発行し、世界約180カ国で850万人が購読する月刊誌。自然・野生動物・社会・文化・探検・科学など、地球とそこに生きるすべての生き物の営みを、世界の一流写真家が撮りおろす美しく迫力に富んだオリジナル写真と、正確で臨場感あふれる記事で紹介している。このコラムは『ナショナル ジオグラフィック日本版』の最新号の特集から、その内容を要約して紹介する。

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