雄大な自然景観を誇るハワイ・カウアイ島のナパリコースト。先住民が神をまつり、かつてヒッピーたちが愛した地上の楽園だ。ここナパリコーストは、伝説の地上の楽園、シャングリラのような幻の桃源郷ではない。カウアイ島のどの地図にも大きく載っているよく知られた観光名所だ。
レンタカーなどを使えばアクセスは簡単。島北岸のぬかるんだ駐車場に車を置いて、外に出るとケエという名の砂浜が広がる。その先にはいっさいの現代文明を拒絶するかのような巨大な断崖がそびえている。
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絶景を誇るこの海岸は、これまで数多くの出版物や映画で“地上の楽園”として紹介され、今も多くの観光客を集めている。切り立った断崖、海辺の洞窟、ひそやかなビーチが連なる全長約25キロメートルの海岸を、海が穏やかな夏にシーカヤックで訪れる人もいれば、船外機付きの頑丈なゴムボートでやって来る人々もいる。
ヘリコプターに乗って映画「ジュラシック・パーク」の冒頭シーンさながらの眺めを楽しむ1時間のツアーまである。ナパリコーストは、この恐竜スペクタクル映画や「南太平洋」など、多くのハリウッド映画のロケ地として使われてきた。
足に自信のある人たちは、全長18キロもある険しいトレイル(山道)を歩いて、最大の渓谷カララウをめざす。本来なら5日間しか滞在が認められないこの渓谷で、彼らは数週間、ときには数カ月もキャンプをして過ごす。
この景観は、数百万年に及ぶ地形の変貌という、壮大な太古のドラマの産物だ。海底から頂上まで高低差が8000メートルもあった古代の楯状火山の山頂周辺が、長い時を経てナパリコーストになった。ハワイの島々はみなそうだが、カウアイ島もホット・スポットと呼ばれるマグマの噴出口の上に形成された。
やがて地殻の運動によりホット・スポットから遠ざかり、冷え固まった島は、雨の力で浸食された。ところによっては年間降水量が2500ミリにも達するこの地で、雨は深い谷を刻み、断崖から幾筋もの滝となって流れ落ちた。玄武岩の断崖が冬の荒波に削られ、海水面の上昇と下降にさらされて、急勾配の斜面が生まれた。
こうして急峻な断崖と、幾多の谷が刻まれた斜面、かみそりの刃のように鋭い稜線をもつ、標高1000メートル級の山並みが、太平洋からそびえるようになった。
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