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「私」を知るための「距離」の取り方~『キャラクターメーカー』
大塚英志著(評:山本貴光)

アスキー新書、743円(税別)

  • 山本 貴光

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2008年5月9日(金)

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評者の読了時間1時間30分

キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」

キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」』大塚英志著、アスキー新書、743円(税別)

 いつからだろう。見わたせば世界はキャラクターであふれかえっている。いや、いつからもなにも、古くは神話の神々から、伝説や民話の登場人物、あるいは小説や映画、演劇、マンガ、ゲーム、TV番組、各種雑貨、テーマパークやコミケはもちろんのこと、お役所やケータイのなかまでキャラクターでいっぱいだ。

 これだけいろいろとお手本があるのだから、自分でも簡単につくれそうなもの。でも、そう思っていざやってみるとこれがなかなか難しい。評者もゲーム制作という仕事柄、何度かキャラクターをつくってきたけれど、方法論もなにもないまま見よう見まねでやってきた。それだけにこんな本を待っていた。

 本書は、キャラクターをつくるための入門書だ。実用に配慮したつくりになっており、これまで一度たりともキャラクターなんてつくったことがないという人でも、この本に示されたステップを踏めば、キャラクターを生み出せるしくみになっている。

 著者の大塚英志は、『木島日記』『多重人格探偵サイコ』『アンラッキーヤングメン』をはじめとする多数のマンガの原作者であると同時に、民俗学に軸足を置きながら多方面で精力的に活躍する批評家でもある。また、近年では『キャラクター小説の作り方』『物語の体操』といった実用的な創作論の仕事も多い。

 このように実作と批評と方法論にまたをかけており、創作と分析、理論と実践のあいだを往復しつづけているということもあって、それこそ「多重人格」ではないけれど、作り手、受け手、編者、評者という複数の立場、複数の眼からテーマを多角的に見せてくれるところがこの著者の真骨頂だ。その複眼思考は本書にも遺憾なく発揮されている。

 本書を読めばキャラクターをつくれると述べた。そうはいってもキャラクターをつくる必要がどこにあるのか。そう思われる読者もいるだろう。

 たしかに本書の表向きの想定読者は、小説や漫画やゲームなどの創作家あるいはその予備軍である。

自分の中からキャラは生まれる

 しかし、本書は単なるキャラクター作成マニュアルにとどまるものではない。キャラクターの創作とは、つくられたキャラクターのなかに否応なく写り込むつくり手自身について考える作業でもあるのだ。実務や趣味でキャラクターをつくる必要があるかないかを問わず、「私」について考えてみたい読者にも本書の一読を勧めたい所以である。

 では、どのようにキャラクターをつくるのか。

 本書にはいくつかの表が示されている。或る表では、行に頭、口、鼻、耳といったキャラクターの身体部位8種類が、列に犬、猫、馬、バッタといった各種動物8種類が、それぞれに1から8の固有の番号を添えて記してある。読者は8面体のダイス(これは別途用意の必要あり)を振って、最初のひと振りで「部位」を、次の目でどの「動物」かを決めるという仕組みだ。

 例えば、1回目のダイスの目が1なら「頭」、2回目のダイスの目が7なら「バッタ」という具合に、ダイスを転がして出た目に該当する部位と動物の組み合わせを、機械的につくり出す。この場合なら「頭部がバッタ」のキャラクター、つまり仮面ライダーのようなものができる。

 もちろん、読者が自分で独自の表をこしらえてもよい。また、上記は外見を決める簡単な例だが、他にもキャラクターの性別や年齢、性格や職業や経歴などを同様の表にすれば、同じ仕組みを使ってさらに複雑なキャラクターもつくれる。

 ここで面白いのは、キャラクターづくりにレディメイドの要素とダイスという偶然を用いる点だ。キャラクターを考えるとき、たいていは個性的なものを目指すだろう。なのに、あらかじめ用意された要素をランダムに組み合わせるというのだから、真逆を行っている。果たしてこれで個性あるキャラクター、つくり手が反映されたキャラクターなどつくれるのだろうか。

 結論から言えば、そこから個性あるキャラクターは生まれうる。なぜか。

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