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ゴールだけ映すテレビに背を向けろ~『4-2-3-1』
杉山茂樹著(評:清田隆之)

光文社新書、860円(税別)

  • 清田 隆之

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2008年5月12日(月)

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評者の読了時間3時間00分

4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する

4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する』杉山茂樹著、光文社新書、860円(税別)

 小学2年生のとき、『キャプテン翼』に憧れて地元のサッカークラブに入団した。当時、サッカーはまだまだマイナースポーツ。公園での練習も、少年野球のチームに間借りする形で行っていた。

 それから5年後にJリーグが開幕した。1993年のことだ。そして、カズがダンスしたり、「ドーハの悲劇」があったり、ヒデが海外で活躍したりするうちに、サッカーはいっぱしの人気スポーツに成長した。サッカーを見る機会も、する環境も、以前に比べれば見違えるほど充実した。

 そこにきて、本書である。副題には「サッカーを戦術から理解する」とある。専門誌で語られることはあったにせよ、テレビはおろか、スポーツ新聞でも「戦術」云々を掘り下げることはまれである。試合結果と、人気選手の活躍ぶり。ニュースのネタといえば大抵がこのふたつ。新書というメディアで、果たして「サッカーの戦術」はどう料理されるのか? いちサッカーファンとして、興味をそそられた。

 感想からいうと、「ガーン」である。こんなことすら知らずに、20年近くもサッカーを続けていたなんて……。試合を見るたびに「もっとがんばれ!」「シュートを決めろ!」などと叫んでいた自分が、少し恥ずかしくなった。

 この本に書かれているのは、素人でも理解できるくらいシンプルな戦術、つまり「戦い方」の解説だ。サッカーのフィールドは、場所による違いは多少あるにせよ、縦が105m、横が68m。ここで90分間、11人対11人の戦いが繰り広げられる。そこにはもちろん勝つための作戦があり、かけひきがある。

 しかし、見ている側は、ついわかりやすい部分に目をやってしまう。ゴールがなかなか決まらない、あるいは選手が全力でプレーしていないと見ると、勝手にイライラしてヤジを飛ばす。水面下の攻防などつゆ知らず、「走れ!」「シュート打て!」。もちろん、サッカーをひとつのエンタメとして見るならそれもありだろう。実際に「走れ!」というヤジが選手を鼓舞することだって大いにある。

手元に長方形を書いて、選手を置いてみよう

 しかしそれだけでは、サッカーを見る目というのは養われない。本書における著者の狙いは、ひとえに「観客のレベルアップ」ということになるだろう。プレーをするのは選手で、戦術を考えるのは主に監督の仕事。観客にできることといえば「応援」くらいしかない。

 では、我々は試合で何を見ればよいのか。著者は「フォーメーション」を見ろという。つまり選手の配置されている布陣だ。「4-2-3-1」という、一見何のことかわからないタイトルは、この布陣の問題に関わってくる。ちなみにこれは、4人のディフェンダーの前に2人の守備的ミッドフィルダーを置き、両サイドとトップ下のポジションに攻撃的ミッドフィルダーが3人、フォワードが1人、という布陣。こういう“配置の形”に目を向けろというのだ。

〈きっかけはあくまでも、ぼんやりと浮かび上がるデザインの違いだ。どういう模様が描かれたときに、どのような現象が起きるか。起きやすいか。それについての裏付けを取りながら、ちょっとした探偵気取りで、サッカーというスポーツを眺めてきた〉

 まずは手元に長方形を描き、両チームの選手を配置し、そこから読みとれるものを考えてみよう、というわけだ。この部分にはスペースがある、ここは人が混んでるな……フォーメーションを眺めながら、そんなシンプルなことに思いを馳せるだけでいい。なにも細かな作戦の応酬や、見えない心理戦を読み解こうというのではない。考えるべきは、「効率」だ。

 例えば、フィールドのセンターにいる選手と、サイドにいる選手では、どちらがボールを持ちやすいだろうか。センターでボールを持てば、前後左右、360°から敵が迫ってくる可能性がある。対して、ライン際であれば、前後と片一方のサイド、つまり180°に注意を払えばよい。

 それでは、ボールを相手から奪おうとする際、ピッチのどの部分で奪えれば効率がよいだろうか?

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