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野菜ジュースを当てにするな~『キャベツにだって花が咲く』
稲垣栄洋著(評:朝山実)

光文社新書、740円(税別)

2008年5月14日(水)

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評者の読了時間4時間00分

キャベツにだって花が咲く 知られざる野菜の不思議

キャベツにだって花が咲く 知られざる野菜の不思議』稲垣栄洋著、光文社新書、740円(税別)

 テレビのバラエティ番組の中で、ムカデやタガメのフライを食べる罰ゲームをやっていた。

 タガメは、見るからにオレサマの面構え。食うんなら食ってみろよと、昆虫然とした格好でこんがりと素揚げされていて、まあ、口に入れるのを躊躇するでしょう。嫌がっているお笑いタレントに、「これは、タイ産ですから」とアナウンサーはにこやかに勧めていた。

 観ていて気持ちのいい番組ではなかったが、タガメやムカデを食する人たちがいるということがわかって、世界は深いと思ったものだ。

 しかし、自分が食さないからといって、異なるものを食べる文化の人たちをバカにするような視線は、おかしいんじゃないだろうか。

 タガメを大写しにし、ぎゃあぎゃあ騒いでいたが、足をぎゅっと閉じたタガメの容姿、日本人の大好物のカニとどれほどの違いがあるのか。つい、考えてしまう。

 さて。いま、第何次かの雑学ブームだそうで、テレビに限らず、専門家が数学や科学や歴史などの知識について書いた本が書店を賑わせている。

 仕入れたとたん、誰かれなく「知ってた? あのね」と吹聴したくなるのがマメ知識というシロモノ。人の性と申しましょうか、「ヤサイクン」とでも呼んでみたくなるほど、野菜たちが咲かせる花の可憐さ、美しさについての紹介、どこからやってきたのかといった伝播ルーツや食べ方にいるまで、読んだら取って出ししてみたくなる一冊だ。

 なぜ、人間は野菜を食べないといけないのか。野菜嫌いの子供に、大人たちは栄養のバランスを考えてとか、もっともなことは言うものの、その理由を問われると、しっかり認識しているわけでもない。

 ライオンは肉しか食べない「偏食の王者」だし、ゾウは草ばかり食べて、あの巨体をよくぞ維持できるものだと、動物園でかれらが食事をする場面を見るたび、感心する。さらに、コアラはユーカリ、アリクイなんかはアリしか食べない。みんなワガママ放題。だからといって怒られたりするわけでもない。

 ライオンはどうして野菜を食べないのに健康なのか。

 理由は、草食動物を血や内臓も含めて丸ごと食べるからだという。著者の説明によると、「丸ごと」がポイントらしい。そっくり平らげることで、草食動物たちが摂取したミネラルやビタミンを得ることになる。

 栄養のバランスということでいうと、人類の祖先は昆虫食で、虫だけ食べていれば何の問題もなかったとか。しかし、食べるのに飽きたのか、果実食に変化していったことからサルからヒトへと変貌していった。というような話をゆったりと語られると、へぇー、ほぉーだ。

 吹聴したくなって、ここに小出しにしてしまったが、詳しくは本書に譲る。

繊維がとれずに、糖分がとれちゃう

 マメ知識ついでに、流行りの野菜ジュース。ワンパックで、1日に必要な野菜が摂れるとのうたい文句に愛飲してしまっているが、頼りきってはいけないと釘をさされてしまった。

 「野菜を食べなさい」と言われる理由のひとつは、食物繊維の摂取にあるのだが、野菜ジュースにはそれが入っていない。ジュースにするために砕くことで肝心のビタミンCの栄養成分は壊れてしまうし、飲み過ぎは糖分の取り過ぎとなる。ラクして、おいしくて、いいことばかり、とはいかない。

 そもそも「1日分の野菜」の宣伝コピーだが、これらのジュースの多くは、厚労省が推奨する1日分の野菜摂取量(350グラム)を下回る栄養素しか含んでいないとの消費者団体の指摘もある。1本100円程度のジュースである。なんでもかんでも期待を寄せるほうが、むちゃってものかもしれない。

 話題をかえます。なんせ、マメ知識で頭が膨らんでしまったものだから、取って出ししてみたくなるのだ。

 おふくろの味といえば、「肉じゃが」。古くからあったかのように思い込んできたが、間違いらしい。肉食が解禁になったのは明治以降。いっぽうのジャガイモはというと、1600年頃、オランダ人によってジャガタラ(現在のジャカルタ)から長崎の出島に持ち込まれた。ジャガタライモが縮まったもので、遡ると南米のアンデス山地がふるさとだとか。

 肉じゃがやカレーライスに大活躍のジャガイモくんだが、日本に上陸した当時は味が淡白なことからさっぱり人気は出なかった。300年以上も日陰にいた。それが一躍、肉とのコラボレーションでその淡白さが逆に生きることとなり、キッチンに欠かせない存在となった。

 ジャガイモは、エピソードにも富んでいる。「新大陸の発見」でヨーロッパにもたらされ、やせ地でも育ち、栄養分が豊富なことから世界中に広まったのだが、興味深いのは、

〈ところで、アメリカ建国の父といえばジョージ・ワシントンですが、元をたどればジャガイモこそが超大国アメリカの礎を築いた張本人かもしれません〉

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