5月のワコビア選手権初日。デビッド・トムズが首位に立った姿を見て、「がんばれ!」と、思わず拳を握り締めた。
二軍ツアーを経て92年から米PGAツアー参戦を開始したトムズの全盛期は、全米プロ優勝を飾った2001年だった。飛ばないけれど正確なゴルフでビッグネームたちを押さえ込み、メジャーチャンプに輝いたトムズは、ショートヒッターのヒーローだった。
06年まで順調に勝ち星を重ね、通算12勝。しかし、昨年はついに未勝利となり、既に18試合が開催された今季は、まだ7試合にしか出場していない。そのうち予選落ちは3回。調子は明らかに悪い。
不調の原因は2つ。1つは「遺伝的な持病」である腰痛だ。優勝した全米プロウィークも鎮痛剤を山のように飲みながら1週間を乗り切った。優勝後にインタビューしたときは、手のひらいっぱいに鎮痛剤を乗せて「このぐらい飲んでいるよ」と笑顔で披露してくれた。
そう、トムズは腰痛との「明るいお付き合い」をずっと心がけてきた。だが、このところの腰痛は悪化の一途。「普通の生活をするだけなら、それほど大問題じゃないんだけど…」と、プロゴルファーであることを呪うような発言まで飛び出していた。
トムズの不調のもう1つの原因は、近年のコース設定に起因している。コースの伸長が著しい中、平均飛距離268ヤードで195位のトムズは言うまでもなく苦しい戦いを強いられている。全盛期のころは、パワー不足を正確性でカバーしていたが、「ゴルフが違うゲームになってしまった」と嘆く昨今のトムズは、ショットの正確性まで失いかけ、フェアウエイキープ率が66.8%で53位まで低下。それは、自信とやる気の低下を示す数字でもあり、暗い表情しか見せなくなっていた。
そんなトムズが久しぶりに首位に立ち、口にしたのは、こんな一言だった。
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