「米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー」

米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー

2008年5月15日(木)

腰痛持ちの「新人」の再出発 ― デビッド・トムズ

Grinding to make the cut is too much like work. (予選をぎりぎりで通るだけの日々は、仕事以外のなにものでもない)

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デビッド・トムズ

Grinding to make the cut is too much like work.

― デビッド・トムズ

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(写真:田辺 安啓)

 5月のワコビア選手権初日。デビッド・トムズが首位に立った姿を見て、「がんばれ!」と、思わず拳を握り締めた。

 二軍ツアーを経て92年から米PGAツアー参戦を開始したトムズの全盛期は、全米プロ優勝を飾った2001年だった。飛ばないけれど正確なゴルフでビッグネームたちを押さえ込み、メジャーチャンプに輝いたトムズは、ショートヒッターのヒーローだった。

 06年まで順調に勝ち星を重ね、通算12勝。しかし、昨年はついに未勝利となり、既に18試合が開催された今季は、まだ7試合にしか出場していない。そのうち予選落ちは3回。調子は明らかに悪い。

 不調の原因は2つ。1つは「遺伝的な持病」である腰痛だ。優勝した全米プロウィークも鎮痛剤を山のように飲みながら1週間を乗り切った。優勝後にインタビューしたときは、手のひらいっぱいに鎮痛剤を乗せて「このぐらい飲んでいるよ」と笑顔で披露してくれた。

 そう、トムズは腰痛との「明るいお付き合い」をずっと心がけてきた。だが、このところの腰痛は悪化の一途。「普通の生活をするだけなら、それほど大問題じゃないんだけど…」と、プロゴルファーであることを呪うような発言まで飛び出していた。

 トムズの不調のもう1つの原因は、近年のコース設定に起因している。コースの伸長が著しい中、平均飛距離268ヤードで195位のトムズは言うまでもなく苦しい戦いを強いられている。全盛期のころは、パワー不足を正確性でカバーしていたが、「ゴルフが違うゲームになってしまった」と嘆く昨今のトムズは、ショットの正確性まで失いかけ、フェアウエイキープ率が66.8%で53位まで低下。それは、自信とやる気の低下を示す数字でもあり、暗い表情しか見せなくなっていた。

 そんなトムズが久しぶりに首位に立ち、口にしたのは、こんな一言だった。

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著者プロフィール

舩越 園子(ふなこし そのこ)

在米ゴルフジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、広告代理店勤務を経て、独立。1993年渡米。ロサンゼルスを拠点に米国のゴルフ界を取材し続け、日本の新聞・雑誌等へ幅広く執筆中。


このコラムについて

米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー

米国のプロゴルフ界を取材しながら常々感じていることがある。それは、大物選手ほど簡単な言葉で奥深い話をするということだ。奥深いと言っても、哲学めいた小難しい話をするわけではない。選手が口にした一言に、その選手のバックグラウンドや素顔を重ね合わせて咀嚼すると、なるほどと頷ける何かが浮かび上がる。その「何か」は我々の人生にもあてはまり、ときには「目からウロコ」のような効果さえ発揮してくれる。そんなとき、その一言に感激し、その選手の大物ぶりにあらためて脱帽させられるのだ。

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