5月30日に刊行される、『英語ベストセラー本の研究』(幻冬舎新書)。この本を書くために、私は戦後60年間のベストセラー英語本を10年刻みで選び出し、それらがなぜ何十万、何百万の読者に熱狂的に受け入れられたのかを分析した。扱った本は23冊だが、目を通した本はその倍以上にのぼる。
23冊の中の主要なものを、10年刻みで2冊ずつ挙げると次のようになる。
>>『英語ベストセラー本の研究』(幻冬舎新書)
- (1) 1940年代――第一次英語ブームの時代
- 『日米会話手帳』『ジャック・アンド・ベティー』
- (2) 1950年代――受験英語隆盛の時代
- 『和文英訳の修業』『英文法解説』
- (3) 1960年代――第二次英語ブームの時代
- 『英語に強くなる本』『英語で考える本』
- (4) 1970年代――逡巡の時代
- 『英語の話しかた』『なんで英語やるの?』
- (5) 1980年代――混迷の時代
- 『日本人の英語』『起きてから寝るまで』シリーズ
- (6) 1990年代――英語本ブームの時代
- 『英語できますか?』『これを英語で言えますか?』
- (7) 2000年代――第三次英語ブームの時代
- 『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本
』『「超」英語法
』
この書籍リストを見て、「ああ、この本は読んだことがあるな」と懐かしく思う方もいらっしゃることだろう。このリストにはないが、1967年に刊行された『試験にでる英単語』は現在までに1500万部近くを売っており、実に国民の9人に1人がこの本を購入した計算になる。また、終戦のその日に企画された伝説の書『日米会話手帳』は、たったの3か月で実に360万部を売りつくしている。
先人の研究から「究極の学習法」を探る
さて、『英語ベストセラー本の研究』には、過去の書物を掘り起こす以外に、もうひとつ別の執筆目的があった。それは、これら先人の労作から英語学習のヒントを拾い集め、「究極の英語学習法」とは何かを探り当てていくことであった。私は、その目的もある程度達することができたと思っている。
この稿は、次の順番で話を進めていきたい。そして、私が探り当てた「究極の英語学習法」についても、第4回で(具体的なやり方も含めて)ご紹介したいと考えている。
第1回 ベストセラー英語本は語る
第2回 すべての本が音読を勧めるのはなぜか?
第3回 「英語で考える」ことは可能か?
第4回 見えてきた究極の英語学習法
第5回 英語教育60年の辿ったまわり道
第6回 日本人英語のアキレス腱
では、第1回「ベストセラー英語本は語る」の話からスタートしよう。
23冊の本を分析した結果、私が得た「英語学習のコツ」は、次の5項目にまとめることができる。
- 学習の抵抗感をなくす。
- 音読と暗誦を繰り返す。
- リスニングを他の三技能に先んじる。
- 継続が不可欠。
- まず磐石の基礎を築くことが肝要。
こうして書くと、「それだけのことか」という印象を持たれるかもしれない。では、これらを逆の言い方にしてご覧に入れよう。
- 英語に抵抗感を持っていたら、学習は続かない。
- 体を使わない英語学習は身につかない。
- 音の伴わない英語は、使いものにならない。
- 一朝一夕に英語力がつくというのは幻想に過ぎない。
- 基礎を手抜きすると、どんなに勉強をしても砂上の楼閣になりかねない。
いかがだろう、この否定形のほうが説得力を持つのではなかろうか。これにもう一項目付け加えるなら、「文法も大事だ!」であろう。同時通訳者として名高い國弘正雄氏や村松増美氏の言い方を踏襲すると、「きちんと文法を学ばないと、いくら話せるようになってもブロークンのまま」である。
1の「学習の抵抗感をなくす」という項目について、若干補足しよう。
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