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彫ること、彫ったものに魂を入れること

『歓喜する円空』梅原猛著 新潮社 2200円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年5月30日(金)

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『歓喜する円空』梅原猛著

『歓喜する円空』梅原猛著

 1本の木の素材に、一刀彫で生涯に12万体以上の、異形の神仏像を彫り上げた円空。円空という仏師は謎に包まれた存在だった。そこに歴史学者であり、哲学者でもある著者が、円空の謎に迫った。

 日本人の宗教は神仏習合とよく言われる。座敷でも居間でも、仏壇があり、同時に神道の祭壇が同居している。唯一1神教である、キリスト教、ユダヤ教、マホメット教などの立場からすると、宗教的にはまったく不思議な国なのだ。

 日本でも、仏教と神道は、もともとは分離していた。それがなぜどのように神仏習合の国になったのだろうか。

 円空仏を何体か連続して拝観する機会があった。円空の生誕地である、岐阜県の羽島でのことだった。円空仏はラフに刻んである。一般の木造の釈迦像や阿弥陀像などは、きれいに磨き上げられている。

 しかし、円空像は、いずれも、削ったときの木理をそのままに放り出してある。未完の作品なのではないか、とも一瞬思う。でも、じっと見つめていると不思議な神々しさが、ラフな木理から立ち上がってくる。

 著者は神仏習合の歴史から、白山信仰、修験道などに触れながら、修験道こそが円空の生みの親であることを見出す。

 円空は放浪の僧侶だった。ふらりと村を訪れ、あっという間に木彫りの仏像を彫り上げ、寺や神社に奉納して、ふらりと去っていく。村や里で、不思議な僧侶のうわさが伝わっていく。それが一種の伝説のネットワークのように、地方を覆っていく。不思議なのだがありがたい乞食坊主なのだ。人々はわけが分からぬまま、円空が訪れるとありがたがる。

 高野山、白山、羽黒山、大山など修験者たちの道場が置かれた地方では、里人はなにがなんでもありがたいものはありがたがる。そのありがたいもののなかから、12万体にも達する円空像がのっそりと立ち上がってくる。

 円空仏はありがたいもののシンボルであり、民衆のための民衆の仏像なのだ。

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