6月12日に発売される、プレイステーション3用ソフト「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」(以下MGS4)。実写映画かと見紛うほどの圧倒的な映像美を誇るこのゲーム、まずビジネス的には、その世界の中でさまざまな企業とのコラボレーションが行われていることに注目してください。
ゲーム中に、さまざまな実在の商品が登場します。たとえば、主人公・スネークの体力回復アイテムとして「リゲイン(第一三共ヘルスケア)」が出てきますし、移動手段として「トライアンフのバイク」に乗れます。また、ゲーム中に「ソニーエリクソンのケータイ」で連絡をとるシーンが登場する、といった具合です。ソニー本社でメディア向け試写会が行われたほどのビッグタイトルなのに、ソニーのライバル、アップルのiPodもゲーム中に登場するのも驚きですが、世界のリアルさを描くためにそこまで割り切ったか、とも思えます。
もちろんテレビゲームの中に広告を挿入するのは、古くからある手法のひとつ。ファミコン時代にも「ゲーム中に永谷園の広告が流れるかわりに、ディスク書き換え料金が100円安くなる」というサービスがあったことを、ご存知の方もいるかもしれません。
とはいえ、複数の企業の商品が、これほど多彩にゲームの中に登場するのは、これが初めてといっていいでしょう。映画などではよく見られる広告手法(プロダクトプレースメント)が、クライアント先や映像、現実味などでも遜色のないレベルで、テレビゲームで行われる時代になった、ということです。
こういったコラボレーションが実現したのは、「MGS4」が、現実の商品が出てきてもおかしくないような圧倒的なまでの映像を誇っているから。そして、なおかつ全世界的にヒットすることが期待されるソフトだからです。シリーズの世界累計販売本数は2200万本以上。「MGS」シリーズは、コラボの条件を満たせる数少ないシリーズであり、全世界に通用するブランドなのですね。
「圧倒的な映像美」をゲームの「面白さ」につなげたところが凄い
もしも過去のシリーズ作品を御存じなくても、映像を見れば、「MGS4」がとてつもないゲームであることは、すぐに理解できるでしょう。たとえば、ゲームの冒頭の「砂埃が舞う中東の戦場」のワンシーンを見ただけで、その臨場感に息をのむはずです。あえて挑戦的な物言いをしますが、日本映画界が総力をあげても、このワンシーンすら、きっと作れないと思います。
しかし「MGS4」の凄さは、ただ「映画のような映像がある」ことではありません。
このシリーズの真の凄さは、どこまでも愚直に「優れたアクションゲーム」であろうとしているところにあります。ここは、くれぐれも誤解されませんよう、お願いします。
「日本映画界が作れないほどの凄い映像」を用意しておきながらも、このゲームにおいては、それらは「アクションゲームの魅力を上げるための、ひとつの道具」に過ぎないのですね。主従関係をいうならば、ゲームが主で、映像が従。このこだわりこそが、このシリーズが全世界で愛されている最大の理由のひとつです。
だって、どれだけ映像が凄くても、ただ敵をなぎ倒していくだけのゲームであれば、臨場感こそ高まるものの、そこにゲームとしての進化は感じないですよね? そこでやっていることは、荒いドットで描かれた敵を打ち倒していく昔のゲームと、基本的な部分が変わらないからです。
でも「MGS」シリーズは、そこがもともと違う。
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