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オゴり倒して、70年!接待やない、楽しいからや

泉井純一氏、「タニマチ」人生を語る

2008年6月3日(火)

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 1996年に表面化した中央省庁のキャリア官僚への接待問題。通産省の歴代次官や資源エネルギー庁長官、大蔵省の幹部など、数多くの官僚が料亭での飲食や絵画の授受などの接待を受けていた。この接待事件の主役を演じたのが大阪の石油卸商、泉井石油商会の泉井純一(いずい・じゅんいち)氏である。

 政治家や官僚、スポーツ選手との幅広い交友関係を誇った同氏。政治家への献金だけでなく、官僚やプロスポーツ選手を集めた料亭での飲み食いに、それこそ湯水のようにカネをつぎ込んだ。その後、1996年に脱税や関西国際空港関連事業を巡る贈賄罪で逮捕。2000年に2年の実刑判決を受けた。

 それ以後、蟄居を続けていたが、この4月にタニマチとしての半生や脱税事件について綴った「夢のまた夢 ナニワのタニマチ」を上梓。自らの交友関係やカネの使い方を赤裸々に語っている。オゴリ倒して70年――。その極意を聞いた。(聞き手は日経ビジネスオンライン 篠原 匡)

―― この本、政治家から官僚、スポーツ選手など、泉井さんが奢った人々が全部実名で出ていて、えらい面白いですね。一気に読みました。

表紙

夢のまた夢 ナニワのタニマチ』(講談社、税別1700円)

泉井 その割には売れてへんのや。

―― いくつ刷ったんですか。

泉井 6000部。重版の話はまだない。

―― それはそれは…。さて、中身の話ですけど、著書の帯に「オゴリ倒して70年」とありますよね。これまでにどれだけ奢ったんでしょうか。

泉井 分からん。というかね、おごるちゅうてもね、僕はおごったという認識はないんです。自分も一緒に楽しませてもろうた、という認識はあるけど、おごってあげたという認識はない。

―― えっ、そうなんですか。

泉井 一人で遊ぶより、みんなで遊んだ方が楽しいし。それに、中央官僚やスポーツ選手はみな一流。そういう人たちは何か持ってるから、話していて楽しいねん。結果的に、僕が支払いしとるんやけど、その時は僕がそういう立場だったからね。僕が払ろうたあげるから来なさい、とかそんな意識ないわ。

―― 山崎拓・元自民党幹事長への献金が2億7700万円。渡辺美智雄・元副総理が名乗りを上げた91年の自民党総裁選で1億円。毎年主催していた大忘年会の経費が1000万円。そのほかにも官僚や毎日の宴会、自らが会長を務める千代の富士の大阪後援会など、湯水のように金を使っていますね。

泉井 相撲はそんなにかからへん。大阪場所1回で1000万~2000万円の間やな。

―― …ご自身の年収はどのくらいだったんですか。

泉井 分からんなぁ。三菱石油から僕に流れたカネで総額44億円になったけど、これも何年かに渡ってやからなぁ。月給制やったら分かるんだけど、月給みたいになってへんから分からへん。まあ、一番、儲かったのは1年に20億円ぐらいかな。「お前んとこ20億円や。来年からはちょっと堪忍してこれへんか」。三菱石油がそう言ったから覚えているだけや。生涯では100億円近くいっとるだろうな。

―― 泉井さんの場合、三菱石油などの石油会社に提供した情報を対価にしたコンサルティングフィーがほとんどだったんでしょう。特に設備があるわけではないから、全部キャッシュとして使える。

現金数十億で廻る「自転車」

泉井純一氏

泉井 そうや。だからいかんのです。「下さい」言うたら、「ハイ」言うてカネが入ってくるから、お金のありがたみが分からんわけやな(笑)。前に銀行の人に言われたわ。「あんた、普通の人はナンボ入ってくるからナンボ使うという感じやけど、あんたはこんだけ払わないかんから、こんだけ稼がなあかんという発想。考え方が間違ごうとる」と。

―― それを「自転車操業」と言うのではないですか。

泉井 そうそう、自転車。そやね。でも、手元に全然、カネが残ってない。全部、使うてしもうた。(1990年に勃発した)湾岸戦争の影響も大きいねん。あの頃、石油会社の合併話があったんや。それで、70億円ほど(石油会社の)株を買っておった。完全なインサイダー。でも、湾岸戦争でご破算になってもうた。

 その後、1995年11月に大阪国税局の査察を受けたんや(※編集部注:その後、脱税で実刑判決を受けた)。担保に入っていない不動産とか持っていたけど、金のないときに査察に入られたから、みな差し押さえにあってなくなった。

―― 壮絶なカネ遣いですね。それにしても、タニマチっていうのは何が楽しいんですか。

泉井 さっきも言うたけどね、奢っているから楽しいというのではなしに、一緒に話をすることが楽しいんであって。超一流の方々を僕が集めるという喜びはありますけど、それまで接点がなかった人同士が、僕をきっかけに交流を始めるというのは本当にありがたい話ですわ。タニマチって面白おかしく言われるけれども、自分が遊びたいわけで。僕は好奇心旺盛やからね。あんたに会うのも好奇心旺盛だからやで。

―― 検察は泉井さんの過剰接待を通して、キャリア官僚の汚職事件につなげていきたかったんでしょうけど、「自分が楽しみたいために飲み会を開くんであって見返りを求めてではない」という泉井さんの考え方、検察には理解できなかったんじゃないですか。

泉井 そうそう。彼らは「あれだけ奢っておいて、見返りを求めないわけがないでしょう」とそればかり。だから僕は言うわけ。「あなた方は卑しい」と。人と会うときにね、何かの見返りを求めて会うんかと。そういう考え方はおかしい。

 大体ね、僕は平成8年11月7日に脱税容疑で捕まったんですけど、それから僕、一回も脱税のことを調べられていないからね。脱税で捕まえたのに、「キャリア官僚にカネを渡したと言え」ということばかり。でも、僕は官僚にはカネを渡していないから突っぱねた。

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「オゴり倒して、70年!接待やない、楽しいからや」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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