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空気読め? そんなの関係ねぇ!~『「お笑いタレント化」社会』
山中伊知郎著(評:清田隆之)

祥伝社新書、760円(税別)

  • 清田 隆之

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2008年6月6日(金)

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「お笑いタレント化」社会

「お笑いタレント化」社会』山中伊知郎著、祥伝社新書、760円(税別)

 学生のころ、東京湾の屋形船でアルバイトをしていた。今でも繁忙期になると手伝いに行く。お花見や納涼船、忘年会や新年会のシーズンになると、サラリーマンや大学生たちが大挙して乗船してくる。

 そんな屋形船で、よく似たような光景を目にする。僕ら添乗員は、客間と引き戸で仕切られたスペースに待機しているのだが、宴会も終盤に差しかかるころ、そこに数名のお客さんがバッグを持ってやって来るのだ。

 彼らはそこで服を脱ぎ、バッグから取り出した衣装に大急ぎで着替える。ある年は「ギター侍」、ある年は「ハードゲイ」、そして去年は海パン一丁の「おっぱっぴー」だった。見た目こそフザケた彼らだが、その顔にはどこか悲壮感が漂っている。そして深呼吸をひとつ入れ、引き戸の向こうへ飛び出していく──。

 本書の基本的なテーマは、近年増え続ける「お笑いタレント志望者」について。著者はお笑い学校の講師も務める“お笑いプロデューサー”であり、長年お笑い業界を内側から見続けてきた現場派だ。

 まずは、社会におけるお笑いの地位の変遷からたどり始める。1960~70年代のお笑いは、制作費のかからない“色もの番組”と位置づけられ、テレビにおける添え物程度にしか見られていなかった。

 しかし、80年代の「マンザイブーム」あたりから、トーク中心のバラエティ番組が台頭し始める。さらに、リモコンの普及によって“ザッピング”文化が生まれ、途中から見ても内容を飲みこみやすいバラエティは、いつしかテレビの主役となった。この傾向は今なお続いており、その中心にいるのがお笑い芸人だ。

修行の道から、「職業訓練校」へ

 また、お笑い番組の変化も指摘している。分刻みで視聴率が出るようになり、極度にテンポアップしてしまった現在の番組においては、かつてのような作りこんだネタを披露するスタイルよりも、1分程度のショートコントや一発ギャグが好まれるようになった。

 こういった笑いは、さしたる演技力もいらず、なかば思いつきで作れるため、キャリアの浅い新人芸人でも手が出せてしまう。上手くいけば、それだけでブレイクできるチャンスすらある。

 芸人の需要が増大し、お笑いの垣根が低くなったとなれば、自ずと志す人も増えるだろう。そしてこの傾向を決定的にしたのが、お笑い芸人を目指すルートの確立だという。

 1982年に大阪で吉本興業の養成所である「NSC」が開校する。それは本格的なカリキュラムを持った「お笑い学校」の誕生だった。そしてこれが、増え続ける芸人の需要に対する供給源となり、大成功を収める。第1期生にはかのダウンタウンがいる。特定の師匠について修行したり、ストリップ小屋の前座で下積みをしていたかつての芸人たちとは、まるで出自が異なる新しいタイプの芸人が出現したのだ。

 この成功を受けて、他の芸能事務所もお笑いの養成所を併設するようになる。95年には東京にもNSCが開校された。各学校とも、劇場を構えたりお笑いライブを主催したりと、芸人の卵たちに活躍の場を与えた。そこで評価を得られれば、テレビ出演にもつながるという道を作った。

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