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ねえ、消費を減らさないで「エコ」ってできるの?~『偽善エコロジー』
武田邦彦著(評:朝山実)

幻冬舎新書、740円(税別)

2008年6月10日(火)

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評者の読了時間4時間30分

偽善エコロジー 「環境生活」が地球を破壊する

偽善エコロジー 「環境生活」が地球を破壊する』武田邦彦著、幻冬舎新書、740円(税別)

 ウチの町は分別収集に熱心で、ゴミを出すにも、20ページもある冊子をめくっては、家庭ゴミなのかプラスチックなのか金属類にあたるのか、確かめねばならない。ルール違反は条例で罰せられるとまでいわれ、引っ越しを考えるくらいウンザリしていた。

 しかし、実際に分別しはじめると、高さ30cmまでの電気ストーブは生ゴミの日でいいとか、判定基準が込み入ったクイズのようで、みょうに楽しくなってきている。

 やりはじめるときちんとしないと気がすまなくなる「エコ」。それはそれでかまわないのだが、ワタシにとって問題なのはゴミの保管場所。ビン缶はもとより、牛乳パックを洗って干し、封筒のセロハン部分を切り取り、「プラ」表示のあるものを一まとめにしているうちに、ゴミ箱が増殖。狭い家の中で、存在感を誇示してしまっていることだ。

 そんな折に手にしたのが、本書。リサイクルをめぐる「ウソ」の告発で名の知れた著者の新刊だ。

 「レジ袋」が廃止され、エコバッグの利用を推奨される。レジ袋はゴミ袋として重宝していたのに、新たにゴミ袋を買わなきゃいけない。しかも、人気のエコバッグはおしゃれすぎて、余計なものを売りつけられるニオイがしてならない。そうした疑問に対して本書はこう答えている。

〈多くの人は「レジ袋を減らした分だけ石油の消費量が減る」と錯覚していますが、石油の成分は一種類ではないので、他のものも同時に減らないと効果は上がりません〉

 もともとレジ袋の原料に使われている石油の成分は、ほかに使い道がなく燃やしていたもの。化学技術の向上で、「廃品」を有効利用できるようになった。だから「環境のため」にレジ袋をなくしてしまうと、昔に逆戻り。ムダに石油を燃やさなければならなくなる。

 100%コットン素材のものならともかく、おしゃれなエコバックの多くは、これを作るために石油の貴重な成分を使うことになるという。

 米国が推し進めようとする「バイオエタノール」に対しても著者は懐疑的だ。

 これによってブッシュ大統領は、ガソリン消費の20%は削減可能と謳いあげているが、「環境に優しい」と手放しで喜ぶことができることなのか。

わざわざエタノールを経由して、クルマに入れるだけのこと?

〈環境団体がバイオエタノールを支持するのは、石油を自動車の燃料に使うと二酸化炭素が出て地球の温暖化につながるけれども、トウモロコシやサトウキビは、太陽の光でできるので、そこから作ったエタノールを燃料にして自動車を走らせても二酸化炭素はでない、と考えているからです。それを「カーボン・ニュートラル」と呼び、食料から自動車燃料への転換を推し進めているのです〉

 プランの推進とともに、穀物価格は値上がった。食料に回すか、燃料に流すのか。農業団体にとって、相場を見て出荷する利は出るものの、地球規模で考えると、穀物をガソリンにかえることは、いま以上に貧しい国の飢えを助長することにならないか。

 しかもなぜか、商売敵であるはずの石油業界が、この計画には賛同している。

〈アメリカのトウモロコシの場合はいろいろ計算がありますが、平均すると1キロカロリーの石油を使って、1キロカロリーのトウモロコシがとれると考えてよいでしょう。ですから、苦労してトウモロコシをエタノールにして、それを自動車にくべるくらいなら、最初から石油を直接ガソリンにまわすのと同じですから、何をやっているのかわからないといえます〉

 食糧にするにも燃料にするにも、化学肥料を含め現実の農作では石油が大量に使用されている。「カーボン・ニュートラル」という新鮮な言葉の裏側にあるものは、〈農業団体や石油団体が、より安定した商売をしようという思惑と圧力〉。つまり、昔ながらの利権構造がカムフラージュされているというわけだ。

 あるいは、テレビでよく取り上げられる南洋の小国「ツバル」の問題。

 海面の上昇によってさんご礁の島が消えるといわれている。しかし、海水が島を呑み込むほどに押し寄せているというのは、すこし考えてみると、おかしなことに思えてくる。

 著者は、これは温暖化よりも、たとえば〈第二次世界大戦当時、アメリカ軍が来て急ごしらえの飛行場をブルドーザーで整地したところが地盤沈下している〉ことが影響しているとみる。そのことに触れずに、マスコミは「地球温暖化」の象徴としてクローズアップしているという。

 ほかにも、ダイオキシンの危険性に関しても、焚き火や田畑の野焼きを禁止せよというなら、焼き鳥はどうなるのか。タバコはどうだ。いわれてみれば、「なんかヘンな気がする」。

 著者は現在、中部大学総合工学研究所教授で、専門は資源材料工学。文部科学省科学技術審議会専門委員などを務め、昨年著した『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)およびその続編が話題となっている。

 なぜ、著者は盛り上がる「エコ」運動に水をさすかのように、疑問を呈するのか。

 動機はシンプルである。「エコ」は商売となる。巨大な利権と化し、善意を食い物にするばかりか、エコの推進がより環境を壊しかねないと危惧するからだ。

 回収されたペットボトルがどのようにリサイクルされているのか。

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