(前回「『英語で考える』ことは可能か?」から読む)
私の新著『英語ベストセラー本の研究』(幻冬舎新書)をベースにして、英語の学習法について全6回の予定でお話をさせていただいている。
『英語ベストセラー本の研究』には、2つの執筆目的があった。
その第1は、戦後60年間のベストセラー英語本を10年刻みで選び出し、それらがなぜ多くの読者に受け入れられたのかを分析することであった。第2の目的は、これら先人の労作から英語学習のヒントを拾い集め、「究極の英語学習法」とは何かを探り当てていくことであった。今回は、そのようにして見えてきた「究極の英語学習法」をテーマに書くことにしたい。
前回の末尾で、松本亨の「英語で考える」と國弘正雄氏の「只管朗読」という2大テーゼを結びつけたところに、「究極の英語学習法」が見えてくる、という予告を行なった。
ちょっと復習すると、松本亨著『英語で考える本』(1968年)は、日本人の英語学習の究極目標は文字通り「英語で考える」ことであるという松本の信念に基づき、いかにすれば「英語で考える」ことが可能になるかを縷々述べた本である。
一方、國弘正雄著『英語の話しかた』(1970年)は、世に「只管朗読」という言葉を広めたことで有名である。「只管朗読」とは、ひたすら音読を続けるという学習法で、國弘氏はこの方法を中学校の英語教師に勧められ、教科書の各レッスンを500回から1000回も愚直に音読したという。
さて、私の探求の結果は、きわめて明快だ。
もしも「英語で考える」ことと「ひたすら音読する」ことが、英語学習の双璧だとすれば、この両者を掛け合わせたらどのような学習法が考えられるだろう、と思ったのである。
《英語で考える+音読》
そんな学習法が、本当に可能なのだろうか。私は可能だと思う。
覚えている単語、暗記済みの数字を、ただ英語で言えばいい
たとえば、英語で九九を言ってみよう。テキストはいらない。頭をフル回転させれば、言うべきことは自然に湧き上がってくる。それをすかさず口に出して言うのである。これは、テキストに書かれた文字の音読ではない。「頭の中に書かれたテキスト」の音読である。さっそく「一の段」から、やってみよう。あえてテキストを文字にすると次のようになる。
1 times 1 is 1.
1 times 2 is 2.
1 times 3 is 3.
1 times 4 is 4.
1 times 5 is 5.
1 times 6 is 6.
1 times 7 is 7.
1 times 8 is 8.
1 times 9 is 9.
1 times 10 is 10.
これを、二の段、三の段と進めて行って、最後の九の段まで口に出して言ってみてほしい。最初は慣れないのでつっかえつっかえかもしれないが、次第に慣れてスラスラ言えるようになるだろう。やってみるとわかるが、だんだん頭の中がカッカしてくる。これは、英語を使った頭のマッサージである。頭がぼんやりした時のリフレッシュ用にも使える。
この《英語で考える+音読》エキササイズには、いろいろなバリエーションが考えられる。将来、それらを集大成した本を作りたいと思っている。
ここでは、いくつかのバリエーションをご紹介することにしよう。素材には「1週間の7つの曜日」を用いることにする。一応テキストをお見せするが、すべて頭の中に入っている知識なので、2度目からは、目をつぶっても言えるはず。ということは、通勤途中でも、ちょっとした空き時間でも、風呂やトイレの中でもベッドの中でも反復復習できる。
こうして英語で考え、英語を口に出す回路が少しずつ強化され、次第に英語を話すのが苦でなくなってくる。國弘氏にあやかって言うなら、愚直な練習を繰り返した者が、最も深く英語を体にしみ込ませ、最後には自由自在の応用力を身につけることができるのである。
では、まず基本形をフルにお見せしよう。
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