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第6回 日本人英語のアキレス腱
~問題は、発音よりも「冠詞」です

  • 晴山陽一

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2008年6月30日(月)

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(前回「英語教育60年の辿ったまわり道」から読む)

英語ベストセラー本の研究

 私の新著『英語ベストセラー本の研究』(幻冬舎新書)をベースにして、英語の学習法についてお話をさせていただいている。

 最終回の今回は、「日本人英語のアキレス腱」と題して、日本人英語の代表的な弱点をふたつ取り上げてお話ししたい。

 話の順番としては、(1) 日本人発音でかまわない! (2) 冠詞は英語力のリトマス試験紙、の順で進めていきたいと思う。

(1) 日本人発音でかまわない!

 第1回(「ベストセラー英語本は語る~最初の課題は「学習への抵抗感」なのだ」)の稿の中で、『英語ベストセラー本の研究』の執筆を通して先人から得た知恵を20近く列挙したが、そのひとつに、次の一文があった。

「発音に日本人の訛りがあってもかまわない(あって当然)」

 もちろん発音はよいに越したことはない。それはそうなのだが、では、発音が不得意な人は英語を使えないかと言うと、案外そうでもないのだ。まずはそんな話から始めたい。

 通常の日本人の発音にはいくつかの特徴がある。1単語ずつ切って読むこと、緩急のリズムがなく一本調子なこと、抑揚がないことなどだ。その結果、日本人の発音はどうしても平板に聞こえてしまう。

 また、子音の発音が弱いため、たとえば「フォレスト出版」が「ホレスト出版」のように聞こえたりする。実際、日本人の多くは、「アルミホイル」が“本当は”「アルミフォイル」であることにすら気づいていない。

 この日本人発音を矯正するのは非常に困難で、その主な原因は、〔1〕アルミホイルに代表されるような「カタカナ英語」が本物の英語の前に立ちはだかっていること、〔2〕日本語は英語とは反対に母音が強く子音が付属的に発音される言語であること、〔3〕しかも母音の種類が英語のほうが何倍も多いこと、〔4〕日本語は高低アクセント、英語は強弱アクセントであること、〔5〕英語の綴りを見てもなかなか正しい発音がわからないこと、などが考えられる。

 では、この抜き差しならぬ日本人発音は、英語を話す上で、はたして致命的な欠陥なのだろうか。私の友人の英国人作家、クリストファー・ベルトン氏は、会うたびに「日本人は発音のことをそれほど気にすることはありません」と力説する。彼は、著書でも同じ趣旨の発言をしているので、その部分を引用してみよう。

英語を話すときに、一番大事ではないのは、なんと「発音」

「発音はおそらく英語を話す上で最も重要度の低い事柄でしょう。英語が上達すれば、発音は自然とよくなるものです。世界ではありとあらゆる発音の英語が話されていることを思い出してください。どの発音がほかより優れているとかいないとか言うことはできません。発音に力を入れるのは、完璧を目指すときだけのことです。(中略)日本人なまりの英語でかまわないのです。プライドをもってそれを使いましょう」(『英会話の勉強の仕方』より)

 大阪大学の日野信行氏は、英語圏以外も含めた広い意味での国際社会において、日本人英語はむしろ非常に聞き取りやすい英語であると主張しておられる。日野氏は、ネイティブ並みの発音ではなくても内容のある、たとえば國弘正雄氏の英語を高く評価して、こう書いておられる。

「私は……國弘先生の英語の発音をモデルとして学生に勧めています。國弘先生の英語の発音はかなり日本的(これは国際英語の立場からすればほめことば)でありますが、その通じやすさすなわちコミュニケーション的有効性は、先生の幅広い国際的な活動を通じて立証されているからです」(『トーフルで650点 私の英語修業』より)

 私も、日本人が英米人そっくりの発音を真似ることには懐疑的である。昨年ヨーロッパでオランダ人やドイツ人の話すニュートラルな英語を耳にして、ますますその思いを強くした。アメリカ英語もイギリス英語もなまっている、というのが私の実感だった。

 ただし、英語ネイティブの発音の特徴を知っておくことは意味があると思う。なぜなら、アメリカ英語を例にとるなら、リエゾン(くっつき音)や、フラップ/t/(betterを「ベダ」「ベラ」などと発音する)などの発音の特徴を知っておくことはリスニング上きわめて有効だからである。アメリカ発音の特徴を理解するためには、たとえば『英語舌のつくり方 じつはネイティブはこう発音していた!』(野中泉著)などの入門書をお勧めしたい。

 結論的に言うと、〔1〕発音をネイティブ並みにする必要はない(そもそも何国人を基準とするのかも不明)、〔2〕しかし、ネイティブの言うことを聞き取るためには彼らの発音の特徴(クセ)を知ることは有効である、ということになろうか。

 では、話題を2番目の冠詞の話に移す。

(2) 冠詞は英語力のリトマス試験紙

 日本人英語の(文法上の)弱点としてよく挙げられるのは、冠詞と前置詞である。これらを誤りなく使いこなすには、ネイティブ級の英語センスが必要だ。國弘正雄氏も名著『國弘流 英語の話しかた』の中でこう述懐している。

「お前の発音は日本人のものだと言われても、痛くもかゆくもありませんが、仮にお前の英語には冠詞や前置詞の間違いが山ほどあると指摘されたら、それは私にとって屈辱以外の何物でもありません」と。

 英語にとって冠詞がいかに重要かは、そもそも冠詞を持たない日本語の話者にはなかなかピンとこない。この点を、一度読んだら忘れられないほど印象的な例文を使って訴えかけたのが、マーク・ピーターセン氏のベストセラー『日本人の英語』だった。

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