「米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー」

解明できない幻――ロレーナ・オチョア

I think I gave myself like 17 birdie chances.(バーディチャンスが17回もあったみたいな感覚だった)

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2008年6月19日(木)

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ロレーナ・オチョア

I think I gave myself like 17 birdie chances. ― ロレーナ・オチョア

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(写真:田辺 安啓)

 「ゾーンに入る」という言葉がある。その意味は「集中力が極限に達し、何をやってもうまくいく状態」なのだと言われている。アマチュアゴルファーも「今、ゾーンに入っちゃってたよ」なんて言い方をする。

 だが、「ゾーン」の定義そのものが、どことなく曖昧なだけに、どのぐらいコトがうまく運び、どのぐらい集中力が高まれば「ゾーンに入った」と言えるのか。そのあたりもまた曖昧だ。

 米ツアーで「ゾーンを経験したことはあるか?」と尋ねると、「イエス」と答える選手は、さほど多くはない。ゾーン経験者は、せいぜい全体の3割ぐらいだ。

 確実に「ゾーン」と思われる状態を経験した代表選手はアニカ・ソレンスタムだろう。01年のスタンダード・レジスター・ピンの2日目に未曾有の「59」をマークしたあのとき、「私は、いわゆるゾーンに入っていた」と彼女は断言した。

 ゾーンに入っているときは、一体、何がどんなふうに感じられるのか。ソレンスタムに尋ねた。

「すべてのパットが絶対に入ると感じられた。だって、カップがものすごく大きく見えたんですもの」

 なるほど。大きなカップに小さなボールを沈めると思えば、気持ちは格段にラクになる。あんまりパットが簡単で、あんまりバーディが続くものだから、さすがに怖くなり、「8連続バーディのあと、私にはパーが必要だと思ったぐらいよ。それで9ホール目をパーにして、やっと落ち着くことができた」と彼女は振り返った。

 ゾーンに入った選手は誰もがソレンスタムと同じように感じるものなのだろうか。5月に米ツアーで初優勝を挙げたばかりの今田竜二に尋ねてみた。最終日はゾーンに入っていたと言う今田は、アニカと同じように「パットは外れる気がしなかった」。しかし、カップが大きく見えたかといえば、「いや、それはなかったですね」。どうやら感じ方は人それぞれのようだ。

 ところで、年間グランドスラム達成の期待を担って全米女子プロ選手権に出場した女王ロレーナ・オチョアは、7アンダー65を叩き出した2日目のラウンド後、こんなことを言った。

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著者プロフィール

舩越 園子(ふなこし そのこ)

在米ゴルフジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業後、広告代理店勤務を経て、独立。1993年渡米。ロサンゼルスを拠点に米国のゴルフ界を取材し続け、日本の新聞・雑誌等へ幅広く執筆中。



このコラムについて

米国ゴルフツアー “たった一言”ストーリー

米国のプロゴルフ界を取材しながら常々感じていることがある。それは、大物選手ほど簡単な言葉で奥深い話をするということだ。奥深いと言っても、哲学めいた小難しい話をするわけではない。選手が口にした一言に、その選手のバックグラウンドや素顔を重ね合わせて咀嚼すると、なるほどと頷ける何かが浮かび上がる。その「何か」は我々の人生にもあてはまり、ときには「目からウロコ」のような効果さえ発揮してくれる。そんなとき、その一言に感激し、その選手の大物ぶりにあらためて脱帽させられるのだ。

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