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メディアと作り手の安売りされた未来~『グーグルに勝つ広告モデル』
岡本一郎著(評:後藤次美)

光文社新書、720円(税別)

  • 後藤 次美

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2008年6月27日(金)

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評者の読了時間3時間30分

グーグルに勝つ広告モデル マスメディアは必要か

グーグルに勝つ広告モデル マスメディアは必要か』岡本一郎著、光文社新書、720円(税別)

 すでに旧聞に属する話だろうが、2007年の広告費調査によると、4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告費はいずれも3年連続で前年割れ。一方、ネットの広告費は雑誌のそれをあっさりと抜いてしまった。

 広告で飯を食ってるマスメディアにとって、ネット広告の急成長は、頭の痛い案件に違いない。じゃ、マスメディアはこの先、どうしたらいいの? そんな悩めるメディア人やマーケッターたちに、本書はじつにサクサクと答えを提示していく。

 のっけから、マーケッターらしい手つきで、著者はこんな整理をしている。

 マスメディアのビジネスモデルの本質は、「大衆の注目の卸売り」「アテンション・エコノミー」だ、と。要は、どれだけマスの注目を集めるか。注目量が多ければ多いほど、広告収入も増えていく。

 対して、「グーグルは、アテンションではなくインタレストの卸売り」だ。インタレスト(能動的な興味・関心)は、アテンションよりも、購買に結び付きやすい。だから広告単価も高く設定できる。

 マスメディアは、魅力的なコンテンツを作って集客することで、そこに広告価値を生み出すのに対し、グーグルは一切コンテンツを生み出さない。ありとあらゆる分野に検索の網を広げ、精度を高めて、ひたすら情報整理(による広告獲得)に徹するのみ。ビジネスモデルとして見た場合、両者はそもそも土俵が違うわけで、競合はしない。

 だから、「グーグルに勝つ広告モデル」というのは看板に偽りアリなのだけど、そこには目をつぶろう。

 では、マスメディアと競合するものは何か。

 ここで著者は面白いことを述べている。それは「過去のコンテンツ」だというのだ。

〈今日オンエアされるテレビ番組は、自宅にあるDVD等のコンテンツストックと競合します。コンテンツストックは、時間がたてばたつほど蓄積していく=過去の蓄積です。つまり、今日オンエアされるテレビ番組は、自宅にあるDVDや本、雑誌と競合するわけです〉

これまで作った記事が、番組が、競合相手になる

 とはいえ、インターネットの登場以前なら、過去のコンテンツの利用は探索コストが高くつくため、競合相手にはならなかった。ところがインターネットの普及と進化によって、「モノと情報が分離して扱えるようにな」り、私たちは容易に過去のコンテンツを堪能することができるようになった。

 結論。よって、もうこれからはアテンションは増えない。

 このミもフタもない現実を前提にしたとき、4大マスメディアはどんな戦略を取りうるのか。

 論理的には簡単に答えが出る。アテンションの絶対量が増えないのだから、質のいいアテンションを集め、広告単価を上げるしかない。そして、質のいいアテンションを集めることとは、ターゲットメディア化を推進していくことだ。

 こうした基本戦略にのっとって、著者は個々のメディアに対して、具体的な戦術を指南していく。

 たとえば、テレビ。先日、IPテレビの規格統一が発表されたが、これなどは、著者が提案する「オンデマンドポイントキャスト事業」(個人個人のニーズに応じた放送事業)とまんまダブる。

〈見たいときに、見たいものを、見たい部分だけ、見たい〉というニーズに応えるべく、テレビ局も、(これまでは渋りに渋っていた)ネットを用いたコンテンツ配信に乗り出さざるを得ないのだろう。

 ネットを使えば、ターゲッティングが可能になる。そのぶん、広告単価を高く設定できるから、アテンションの量を奪い合うゼロサムゲームから脱却できる、というのが著者の展望だ。

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