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国の「切れ目」から、欲望がのぞく~『世界の奇妙な国境線』
世界地図探求会著(評:島村麻里)

角川SSC新書、760円(税別)

  • 島村 麻里

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2008年7月3日(木)

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評者の読了時間1時間40分

世界の奇妙な国境線

世界の奇妙な国境線』世界地図探求会著、角川SSC新書、760円(税別)

 オリンピックが近づくと、ふだんは本棚の奥で眠っている世界地図をつい取り出したくなるのはわたしだけだろうか。書店で探してしまうのは、この手の本だ。本書も、評者のような者の「わかりやすい」欲求を当て込んで出版されたのかもしれない。

 お、ここの国境線って、なんだかヘン。ミョーな方向に、そこだけニョロリと伸びた国境線は、なにを意味するんだろう?

 たとえばアフリカ・ナミビアである。カプリビ回廊と呼ばれる「それ」は、ザンビアやジンバブエの方向に、砂漠のなかを東へ、東へと、まるでミミズのように伸びている。その距離、じつに400キロだとか。

 あるいは、アフガニスタンのワハン回廊だ。その昔三蔵法師も通ったという険しい山肌を縫うように続く国境線も、約300キロ。なんでそんな難所に、わざわざ線を引く?

 理解に苦しむ国境線のあり方には、必ず「ウラ」がある……。これが本書のテーマといっていいだろう。

 カプリビ回廊の場合は、ダイヤモンドや銀といったナミビアの豊富な資源を運ぼうという旧宗主国・ドイツが抱いた野望の名残だし、ワハン回廊にしても、もとはといえば19世紀に遡る、英露両国のパワーゲームの緩衝地帯として用いられたのだった。

 「怪しい」国境線は、飛び地という形でも、世界各地に見つかる。

点線の国境、途切れる国境

 イスラエルのガザ地区が、世界最悪の、と称していい飛び地なのはいうまでもなく、国交のない「敵対国家」でありながら、米国はキューバにグアンタナモ基地を置く。スペイン国内にある英国領ジブラルタルにせよ、バルト海に面したロシア領カリーニングラードにせよ、地の利をめぐって、国々が争った果てに生まれている。

 最近の例でいえば、ティモール島だ。

 島の東側は、2002年に東ティモールとしてインドネシアから独立したが、インドネシア領である島の西側には、オエクシという人口6万人弱の飛び地がある。オエクシは東ティモール同様、もともとはポルトガル領で、東ティモール独立の際には、やはり旧ポルトガル領だった同国への帰属を望んだ。しかし、周りを囲むインドネシアが自国領内の自由な通行を認めていないため、オエクシの人々が「本国」と行き来するには、海路、10何時間もフェリーに揺られなければならないのだという。

 世界には、地図に「点線」で記されていたり、国境線が途中で「途切れ」ていたりする「怪しげ」な地域もある。

 「点線」に代表されるのは、カシミールの領有権をめぐる印パの争いだ。北部で国境を接する中国も一部からむ。「途切れ」は、サウジアラビアとイエメンの間の砂漠地帯。未開発の油田が眠っているからだとされる。

 本書が「怪しげ」だと強調する国境線はいずれにも、歴史的、政治的、経済的に、国対国の思惑がからみあい、その多くで天然資源や要衝地帯をめぐる領有権の諍いが起きていたりする。対して、ぴたっと定規を当てたように直線の続くアフリカ大陸や中東の国境線。これはこれで、列強国の都合で一方的に引かれた、という歴史を持つ。

 そうかと思えば、承認されない「国境」も存在する。

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