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ストレスを“発見”した天才生理学者の物語

『ストレスとはなんだろう 医学を革新した「ストレス学説」はいかにして誕生したか』 杉晴夫著 講談社ブルーバックス 820円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年7月15日(火)

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 本書は「ストレス学説」を世界で初めて提唱した、ハンス・セリエの物語である。セリエは「ストレス」を発見し、その原因を明らかにした天才的な生理学者だった。

 両大戦間、1926年のある日、18歳のセリエはプラハで臨床診断学の講義を受講していた。そして講義に連れてこられた患者たちの誰もが、明らかに病気の症状を訴えていた。舌が白く荒れ、頭痛に悩み、発熱が持続し、内臓が肥大している。ところが教授は、そのような症状は無視し、患者たちはみな、特定の細菌による感染症の症状が発現するまで、しばらく安静にしてることが重要だ、と診断したのだ。

 当時は、いわゆる細菌学の黄金時代で、病気を引き起こす原因は細菌であり、病気を引き起こす細菌を特定して、その細菌に対する抗体を体内に作ることが、医学の最先端の考え方だった。

細菌ではない「なにか」が病症を引き起こす

 セリエが臨床に立ち会った人たちは、明らかな病状を示していたが、細菌による感染症ではなかった。ではどうして、一体何がこの患者たちの症状を引き起こしているのであろうか?

 この単純な疑問からセリエはスタートした。細菌以外のなにか別ものが、患者の身体に、悪影響を与えているのではないか、とセリエは考えた。当時、最新の知見として、高峰譲吉が世界で初めてホルモンという内分泌系の物質を分離するのに成功していた。ここでセリエはハタと手を打った。内分泌系こそが、カギとなる!

 内分泌系の研究から、セリエのストレス学説は成立していく。内分泌系の研究から、腎臓に付着したエンドウ豆大の副腎という組織が注目され始めた。副腎の中の謎の物質が奇妙な止血効果を持つことが分かっていた。そのせいもあって、副腎からの内分泌の研究が盛んになった。

 ここでまた、日本人研究者が活躍する。高峯の研究室で助手をしていた上中(うえなか)啓三は、副腎の分泌液から、アドレナリンという物質を見つけだす。人間が重大な危機に直面したときに、いわゆる火事場力を発揮するが、副腎から大量のアドレナリンが分泌される。

 人間の瞬間的な行動に、副腎からのアドレナリンのような分泌物が作用できるということは、この分泌から行動の間に、脳が介在しているはずだ。ここまで行けば、ストレス学まではあと一歩。

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