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失敗だらけの現代ニッポン、安全社会という落とし穴

「失敗学」からストレスを考える--畑村洋太郎氏(前編)

2008年7月24日(木)

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 このコラムでは、自然科学、社会学、文学、芸術…など、それぞれの学問領域で活躍をしている研究者や専門家に、各分野の先端知から見た「ストレス」をおおいに語っていただく。また、「ストレス」に対して人はどう対処したらよいのか、といった実学的知見もうかがう。
 第1回は工学博士にして失敗学の草分けである畑村洋太郎さん。六本木ヒルズの回転ドア、JR福知山線の脱線事故などでは、調査依頼を受けるより前に腕まくりして現場に飛び込んで、責任追及ではなく、その失敗の原因をとことん探究してきた。
 一昔前は「失敗はあってはならぬもの」という考えがあった。いまもその風潮は確かにある。だが、その一方で、畑村洋太郎さんが“失敗学”を始めてからは、「不可避な失敗もある」「失敗を次に生かす」などの考え方も論じられるようになった。ストレスと関係する失敗の“その先”に何があるだろう。

--現代社会は、失敗を強いる社会構造でありながら失敗を許さないという、非常にストレスフルな社会になっていないでしょうか? たとえば企業は、成果主義という名のもとに、サラリーマンに「どんどんチャレンジせよ」と言いながら、一方で「リスクは回避できて当たり前」「ロジカルに考えれば成功できるはず」とプレッシャーを与えます。失敗に対する寛容さを失っていると思えてなりません。

畑村洋太郎(はたむら・ようたろう)
工学博士。東京大学名誉教授。工学院大学グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科教授。著書『失敗学のすすめ』『失敗学実践講義 だから失敗は繰り返される』『起業と倒産の失敗学』など。

畑村洋太郎(はたむら・ようたろう) 工学博士。東京大学名誉教授。工学院大学グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科教授。著書『失敗学のすすめ』『失敗学実践講義 だから失敗は繰り返される』『起業と倒産の失敗学』など。

畑村:いま言われている成果主義は、社会全体が持っているいろんな力や可能性のうち、お金に換算できるところだけに安易に着目している。蛸がお腹をすかせて自分の足を食べるのと同じ。自分の可能性を自ら奪っているようなものでしかない。

 それで何が起きているかと言ったら、とにかく明日も生きていくという一番大事なことをおろそかにして、再生産活動を台無しにしている。

 つまり農業でいったら、次の収穫に絶対に必要な種籾まで食べちゃっているようなもの。少し考えたらわかるけれど、短時間で成績を上げることを求められたら、次の収穫などできやしない。そういう食い潰しの果てがいまの鬱や自殺の増加だよ。

-- 短期のうちに利益を上げることが組織にとって正しいこととされれば、そこに属している人は、「なんかおかしいな」と感じても、組織の論理を疑うより「正しいことを実行できない自分のほうがおかしい」と責め出すのかもしれません。

畑村:サラリーマンだと組織全体の動きに抵抗できないでしょう。抵抗できないのに「全体を改める方に注力すべきだ」という形式主義でものを言う人が多すぎる。

 けれど、そういう評論家的意見で自分の行動を判断するのではなく、本当に生きる種まで手をつけることになるような、切羽詰まった事態に追いつめられたと感じたら、さっさとその状況から逃げてしまえばいい。

-- もがき苦しいのに、ついがんばっている自分に意味を見いだしがちです。それにしても、日本はここ10年以上、成功体験よりも失敗体験を積み重ねています。スピードを重視して大惨事を起こしたJR福知山線の脱線事故、三菱自動車のリコール隠しなど、短期的な目標に邁進することが大きな問題を生むという教訓を得ています。そうした経験を人が生きやすいようなシステムに活用し、失敗を成功に転化するにはどうすればいいでしょう。

畑村:失敗しない何かのシステムをつくったらちゃんといくだろうとか、誰かが助けてくれるだろうと思うかもしれないけど、そんなことはないからね。

 所属している組織に関係なく、最後はひとりで生きていくしかない。助けを期待したり、援助されることを期待していることがおかしい。

コメント11件コメント/レビュー

お話としては非常に面白いので興味深く読ませていただきました。ただ、主旨一貫していないようなので、このあとどのように展開されてまとめられていくのか楽しみにしております。役立たないビジネス成功論など、まさしくという感じです。種モミ食べてしまう例えも腑に落ちます。赤福の件はどなたかがご指摘のように「嘘をついた」ことが指弾されたと思います。駆け下りは、自己責任でOKとおっしゃる方もいますが、転んだ場合ほぼ100%、下側にいる他人を巻き込みますから、車がいなくて渡る赤信号(私もやります)とは意味合いが違いますね。(2008/07/25)

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いただいたコメント

お話としては非常に面白いので興味深く読ませていただきました。ただ、主旨一貫していないようなので、このあとどのように展開されてまとめられていくのか楽しみにしております。役立たないビジネス成功論など、まさしくという感じです。種モミ食べてしまう例えも腑に落ちます。赤福の件はどなたかがご指摘のように「嘘をついた」ことが指弾されたと思います。駆け下りは、自己責任でOKとおっしゃる方もいますが、転んだ場合ほぼ100%、下側にいる他人を巻き込みますから、車がいなくて渡る赤信号(私もやります)とは意味合いが違いますね。(2008/07/25)

畑村先生の記事は興味深く、ここに限らずお名前を目にするとたいてい読ませて頂いているのですが、最後の"キリギリス"の結びは、冒頭で批判されていた"成果主義"社会を奨励する"自己責任論"で使われることが多い論法なので、問題の単純でなさを思い知らされます。つまり今の閉塞感というのは、キリギリスとして生きられない失望感というよりも、(文中では逃げればいいといわれるが)逃げ場のない追い込まれ感と過剰なコンプアライアンスや安全への渇望が生む規制や空気、それらと自己責任はどこで線引きすればいいのかという共通認識のなさに起因するものではないでしょうか。(2008/07/25)

コメントにだが「エスカレーターの駆け下り」は自己責任というけれど、それでも最近の人は平気で訴えるでしょう。何かエスカレーター運行他に不備が無いかを見つけて責任を。赤信号守らないで横断して事故でも車に落ち度なしですむなら良いですがそうなりません。そしてやっぱり車を訴えるでしょう。本編にもどるが、この世の中自分が宣言した事を守らない事は非難されても仕方ないだろう。その意味でも宣言する時は軽はずみにしない事だ。上が実態という下を見ないで勝手に動くのも良くない。神経通っていない事が問題(2008/07/25)

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三品 和広 神戸大学教授