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『一杯のかけそば』って『ケータイ小説的。』
~いまの「リアル」はヤンキー文化と浜崎あゆみから

2008年7月30日(水)

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ケータイ小説的。 “再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。 “再ヤンキー化”時代の少女たち』速水健朗著、原書房、1500円(税抜き)

 ケータイ電話とipodが一体となったiphoneの発売日。都内の販売店で行列の先頭にいた人に、テレビの取材者が「最初に誰にかけますか」と問うと、ジミな名古屋の青年は母親にその場で電話をかけていた。

 取材陣が殺到したのは、栃木からやって来たというモヒカンにサングラスに刺青の男性。彼が電話で呼びかけたのは、「あっ、ばあちゃん」だった。一番に電話したのが彼女とか友達ではなく、郷里の家族。意外というべきか、なごむエピソードだ。モヒカンの彼は、徹夜しているうちに仲間ができて楽しかったと語っていた。

 便利な機能よりも、イベントに参加することに、ケータイ電話がもつ意味も変化しようとしているのかもしれない。そんなふうに考えたりしたのも本書を読んでからだ。

 ケータイ小説は、都市でなく、地方で売れていた。著者は、その意味を探ろうとする。

 ありがちなケータイ小説論で似通っているのは、「これは小説できない」「文学ではない」と論じて、溜飲を下げるものだ。しかし、欠陥をあげつらってみたところで、「なぜ100万部もの売り上げがあったのか」。ナゾは、いっこうに解き明かせるものでもない。

〈ケータイ小説とは、ファスト風土化した郊外が舞台で、郊外に住む少女が主人公の、郊外に住む少女たちを主な購読層にした、郊外型ショピングモール内書店で売られる「新しい文学」である〉

 「ファスト風土化」とは、『下流社会 新たな階層集団の出現』の著者・三浦展の造語で、日本全国どの地方にいってもファストフード店のように同じ風景が広がっている様を指す。ケータイ小説が売れたのは都市部ではなく、地方の街だった。

「実話」が欲しくてたまらない

 著者は、論を展開するにあたって、まず、近年のベストセラーに注目している。極道の妻から弁護士となった女性の波乱万丈を綴った『だから、あなたも生き抜いて』。アダルドチャルドレンだったと告白する、堺正章の元妻の自伝本。飯島愛の『プラトニック・ラブ』。これらの本に共通するのは、「過去」を打ち明けたノンフィクションであること。

 大人たちが飛びついたのは、すべてが「実話」であったからだ。そして、ケータイ小説の読者もまた「リアル」であることを共感のポイントにあげている。

 大人の目からすれば、ケータイ小説はレイプや援助交際に難病などの悲劇のバーゲンセールじみているし、話としてつじつまの合わないところは多い。おまけに文章が稚拙となれば、小説とは言い難いものが売れるのは「理解できない」と、クビを傾げることで大人たちはヨシとしてきた。

コメント2件コメント/レビュー

一杯のかけそばがあんなに叩かれたのは、「実話ではなかった」からではなく、正しくは、「童話をさも実話のように喧伝していた」からではなかったでしょうか。作者が嘘つきだったから怒った人が多かったと思いますが。今回の記事の展開上、かけそば騒動の当時の実態を脇に置き、実話か否かに焦点を合わせたのは、お手軽で滑稽な印象です。編集の方が気づいて原稿を著者に戻したりしないのでしょうか。。。(2008/07/30)

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いただいたコメント

一杯のかけそばがあんなに叩かれたのは、「実話ではなかった」からではなく、正しくは、「童話をさも実話のように喧伝していた」からではなかったでしょうか。作者が嘘つきだったから怒った人が多かったと思いますが。今回の記事の展開上、かけそば騒動の当時の実態を脇に置き、実話か否かに焦点を合わせたのは、お手軽で滑稽な印象です。編集の方が気づいて原稿を著者に戻したりしないのでしょうか。。。(2008/07/30)

時代がどのように移り変わろうとも、人間の本性というか本質というか、「欲しいもの」というのは、変わらないのだろうと思います。たとえその対象の見かけは変わっても、求める動機は同じなのかもしれません。あるいは、著者が述べているように、他人とつながっていたいと願う人間が、その媒体となってくれるものを、探し続けているのかも?(2008/07/30)

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