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『復讐プランナー』が授ける、いじめ克服法とは?
~視野狭窄で身を滅ぼさないために

  • 澁川 祐子

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2008年8月6日(水)

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復讐プランナー

復讐プランナー』あさのあつこ著、河出書房新社、1200円(税抜き))

 ぶっそうなタイトルである。しかもこの本は、中学生向けに書かれた「14歳の世渡り術」シリーズの1冊。事実かどうかは別として、少年犯罪の凶悪化がメディアで盛んに報じられるなか、このタイトルに穏やかじゃないものを感じる人も少なくないだろう。だが、タイトルの強烈な印象とは裏腹に、中身はいたって真っ当で、いい大人が読んでも「なるほどなあ」と思う本なのである。

 本書のテーマは「学校でのいじめ」。いじめに遭ったときにどう対処するかを、ストーリー仕立てて語ったものだ。著者は、『バッテリー』という野球青春ものがベストセラーとなった人気児童作家である。

 物語は、中学1年生の主人公・雄哉がクラスメイトの久利谷たちから、執拗ないじめを受けているところから始まる。きっかけは、親友の章司に対するいじめを偶然目にして、止めに入ったことだった。親友をかばおうとして、逆にいじめのターゲットになってしまったのだ。

 突然始まったいじめ。久利谷たちは、教室では「良い生徒」を演じている。先生にも家族にも相談できず、途方にくれる雄哉の前にひょっこり現われたのが山田先輩だった。山田先輩は、「復讐計画を立ててみたら」と突拍子もないことをさらりと雄哉と章司に提案するのだが――。

 さっきこの本は「いじめに遭ったときにどう対処するか」と言ったが、厳密には「こうしたらいじめはなくなる!」といった単純な解決策を示しているわけではない。じゃあ何を言っているのかといえば、「いじめに遭ったときにギリギリまで追い詰められない」方法を説いているのだ。

先輩が復讐計画を提案したワケ

 追い詰められた人間は、後先を考える余裕などない。最悪の場合、いじめを苦に自ら命を絶ってしまう子もいる。逆に、外に向かって他人をひどく傷つけてしまう子もいる。

 だからこそ、山田先輩は言う。

〈今、おまえらに一番大切なのは、落ち込んで泣くことでも、怒りまくって何かに八つ当たりすることでもない。冷静になることだ。冷静沈着。頭を冷やして考える。そうしないと、相手のペースにはまって、ますます追い詰められていくだけさ〉

と。追い詰められないための方法として、山田先輩は雄哉に「空をゆっくり見上げる」「深呼吸をする」「笑ってみる」「一人よりも二人で立ち向かう」といったアドバイスをする。これらのちょっとした気持ちのそらし方は、精神的に余裕がなくなった大人でさえ往々にして忘れがちなものだ。そして、最大のアドバイスはなんといっても「復讐ノート」をつけて復讐計画を練るというものだろう。

 なんでもいいから、ノートを1冊用意する。そこに、思いつくままに復讐の方法をどんどん書いていく。次に、かたっぱしから書いた復讐計画を実現可能な順に並べる。そして、実現できそうな案を二つ三つ選んで、さらに細部を詰めていく。復讐計画ができあがったら、今度はそれを失敗せずにどう遂行するかを具体的に考えていく、というのがやり方だ。

 雄哉たちが「本当に実行するの?」とか「書いただけじゃ解決にならない」などとツッコミを入れると、山田先輩は、

〈おれは別に復讐ノートで全部がうまくいくなんて、言ってないから。ただ、今のおまえみたいに、マイナス思考だと、それこそ、なんにも解決しないぞ。自分で自分を追い込まないこと。絶望しないこと。自棄にならないこと。自分を保つこと〉

ときっぱり言う。そう、復讐ノートを書いたからといっても、いじめがなくなるわけではない。でも、少なくとも「いじめられている」という意識から解き放たれることができる。

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