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40代からはじめる認知症対策~『ぼけない!』
皆川正夫著(評:三浦天紗子)

マイコミ新書、780円(税別)

  • 三浦 天紗子

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2008年8月18日(月)

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評者の読了時間3時間15分

ぼけない!──認知症にならない生活

ぼけない!──認知症にならない生活』皆川正夫著、マイコミ新書、780円(税別)

 数年前のベストセラーだが、横山秀夫の『半落ち』は、アルツハイマーの進行を苦にした妻から懇願され、嘱託殺人を犯した夫がどう裁かれるのかというミステリー。身につまされる話だと思った。

 評者の祖父も90歳を越えたあたりの最晩年、認知症的な行動が見られ(「見られ」というのはそう診断されたわけではなかったからだが)、父母は介護に振り回された。

 本書によれば、いまや日本の認知症患者数は推定約200万人。うち、アルツハイマー病は約100万人。全団塊世代が65歳以上となる2015年には、認知症患者がさらに60万人、アルツハイマー病患者も50万人増えると書かれている。

 一方、厚労省老健局長の私的研究会である高齢者介護研究会においては、医学的判断とは異なるが日常の介護を要する「認知症高齢者数」(日常介護自立度2以上の当該数)は、2002年の時点で149万人との推計だった。このデータから将来推計を行うと、介護が必要な認知症高齢者数は2005年で169万人、2015年で250万人になるらしい。また、厚労省研究班の推計によれば、2005年の認知症高齢者数は205万人。要はこの病気の実態把握はいまだ過渡期にあり、はっきりしていない。

 ただ、高齢者人口の増加に伴い、患者数が増え続けていることは確かなようで、厚労省は今年度から予備調査を行い、2009年度より本格的な対策に乗り出すことを発表した。身近な家族が、いや、自分自身が認知症患者になってしまうつらさは、誰にとっても対岸の火事ではないのだ。

〈経験してきたことの記憶や、物の扱い方などの記憶は、その人自身の過去の記録であり、自我を成り立たせているデータベースです。それらが失われていく認知症と言う病気は、自我そのものが失われていく過程であり、あまりにも緩慢な死を目の当たりにする思いがします〉

 そう語る著者は医療や科学を専門にするジャーナリストだが、そうした立場からの啓蒙的な意味より、「自分も家族も認知症の射程圏内に入ってきているという個人的興味」があって、筆を執ったという。

 認知症の代表的な症状はもの忘れだ。年を取れば誰しももの忘れはするが、忘れたことを指摘されても思い出せないようなレベルになると病的で、生活そのものに支障を来す。家族などよく知る人の名前を言えなくなる、一昨日の夕食が何だったか思い出せないなどはよく知られているが、文字が書けなくなる、作り慣れた料理ができなくなるなど、体で覚えた段取りまでが怪しくなるのが特徴だ。

 いわゆる「認知症の診断基準」はあるのだが、それに該当する時点では、すでに症状がかなり進んでいることになる。そうなると改善は難しいため、予備軍のうちに気づき、何らかの対策を打てるどうかが認知症で苦しまないためのカギになる、と著者は言う。

 では、認知症は何が原因で発症するのか。

 代表的な原因疾患はアルツハイマー病。これが、認知症全体の50%以上を占めている。

 さまざまな研究から、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病、特定の遺伝子、老人斑点の形成から神経細胞の壊死に至るまでの脳内の炎症、女性の場合は女性ホルモンの低下などが、アルツハイマー病の危険因子であることがわかってきた。しかし、それらは発症から最終的に起こる脳の萎縮までの過程で複雑に絡み合っており、進行にどう影響しているのかは今後の研究を待たなければいけない。

 ちなみに、認知症とアルツハイマー病は一緒くたにしてしまいがちだが、認知症とは病名ではなく、記憶力など知的能力に障害が出る病状を指す言葉である。よって、次のようなアルツハイマー病以外が原因の認知症もある。

 2番めに多い原因疾患が、脳血管性認知症だ。脳卒中のような脳の血管トラブルにより脳の神経組織が損傷を受け、認知症の症状が出ることがある。これが全体の約30%。

 次いで、約10%を占めるのがレビー小体型認知症である。レビー小体という円形のタンパク質が神経細胞の中にできると、パーキンソン病のように運動機能の障害が始まり、加えて認知症の症状が出始める。このレビー小体型認知症のいちばんの特徴は、アルツハイマー病にはない“幻覚”が現れることだ。

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