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ラオス採集記 パート2 その3 若原流の虫採り術

2008年8月20日(水)

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 歳のせいか、よほど昼間に疲れないかぎり、夜中に眼が覚める。なんとか寝ようとしながら、あれこれ考えてしまう。夜中にものを考えると、どうも話が暗くなる。

 文明それ自体が、一種の依存症である。そんなことを考える。テレビだ、車だ、エアコンだ、コンビニだ、ケータイだ、インターネットだ。無意識にその依存症に気がついているから、「禁煙」運動になるらしい。なにかを眼の仇にして、「私は依存症ではない」と暗黙にいいたいのであろう。残念でした、人間は依存症から逃れられない。私とその仲間は虫依存症である。だからいかなる依存症にも、私は寛大である。

 虫依存症も、そのうち変な目で見られるようになるかもしれない。車やケータイ、インターネットのような人工物への依存症は広く許容されるが、自然物への依存症を都会人は嫌う。本質的には、都会は自然を排除するものだからである。

 鳥インフルエンザ、SARS、エボラ出血熱だと大騒動になる。その割には、車で死ぬのは、あまり気にしていないらしい。積算でどちらが多数死んでいるかは、構わないのである。それは当たり前で、車の正体はわかっているが、ウィルスの正体は不明だからである。

 正体不明を嫌うのは、都会人の常である。しかし正体不明の虫が採れたら、面白くて仕方がない。それが虫屋というものである。山迫君と若原君が、カミキリ屋ダマシを採ったという。山迫君が最初に採ったときに「これってひょっとしてカミキリか」と思ったらしい。それは雌だったが、まもなく若原君が雄を採った。

 そうしたら、立派な櫛ヒゲを持っていた。そんなカミキリはめったにない。写真を見せてもらった。まあ、カミキリに違いないと思うが、変なものがいるなあと思う。さすがにラオスである。あとで聞いたら、ノコギリカミキリの仲間だった。ヒゲが鋸状だからこういう名前で、ノコギリからクシまでは、ほんの一歩である。

ラオスのウバタマムシ 日本のウバタマムシとそっくりです

ラオスのウバタマムシ 日本のウバタマムシとそっくりです

ラオスのノコギリカミキリ 日本のノコギリカミキリとそっくりです

ラオスのノコギリカミキリ 日本のノコギリカミキリとそっくりです

ラオスのクロカミキリ 日本のクロカミキリとそっくりです

ラオスのクロカミキリ 日本のクロカミキリとそっくりです


 七日は前日までと逆方向、ポンサヴァンから東へ行く。十二キロ先にナムコー村というところがある。そこの村長さんの家に行って、近くの原生林への案内をまず頼んだ。山迫・中里組がそっちへ。簑島君は近くでゲンゴロウ採り。若原、小桧山、私の組は、安全な村長さんの家の裏山へ。

 裏山それ自体にはなにもいない。松が生えているばかり。がっくりして山から降りてきたが、家の近くのデエゴの木の一本から、白い大きなクチブトゾウムシが多数採れた。同じ種類の木が六本、立ち並んでいる。それなのに、虫がいるのはそのうちの一本だけ。こういうことはよくある。こういう木のうち、虫屋に周知されている木は、通常「ご神木」と呼ばれている。

 つぎに若原君が道路わきで、大きな美しいクチブトゾウムシ Cyphicerinus を一頭、採ってきた。「これはたいてい一頭しか採れないんだ」といったら、また採りに行って、三頭を追加してきた。降参。アベマキから採れたという。ラオスのクチブトゾウムシのかなりの種がアベマキから採れる。

 昼までに全員が戻って、村長さんの家で昼食。高床だからいわば二階だが、隅に煮炊きのための囲炉裏がある。山から戻ってきた村長さんはヘビだといって、コプラの死骸を放り出した。相手が逃げるところを追跡して、ナタで仕留めてしまったらしい。むろん食べ物である。

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「ラオス採集記 パート2 その3 若原流の虫採り術」の著者

養老 孟司

養老 孟司(ようろう・たけし)

東京大学名誉教授

解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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