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「やればできる俺」という欲望

谷口悟朗監督「コードギアス 反逆のルルーシュR2」(1)

  • 渡辺由美子

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2008年8月22日(金)

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 アニメーションは、頭の中で望んだことを描き動かすもの。作り手の嗜好を忠実に映像化することができる。そして作り手は、視聴者の欲望をいかに捉えるかに常に腐心している。だったらアニメを通して時代の欲望が見えるのではないか? そんな仮説を手に、日々アニメ制作に臨む監督たちにインタビューを申し込んでみた。まずは「コードギアス 反逆のルルーシュR2」の谷口悟朗監督にうかがってみよう。

●作品紹介●

超大国ブリタニア帝国に占領された日本=エリア11。そこに生きる二人の少年、ルルーシュとスザク。
「ギアス」の力を手に入れ、世界を壊そうとするルルーシュ。
ナイトメアフレーム「ランスロット」を操り、世界に理想と真実を求めるスザク。
二人の対照的な生き方は、やがて帝国を揺るがす大きなうねりとなっていく。

【上記は「コードギアス 反逆のルルーシュ」公式サイトより引用 2008年8月現在、続編の「コードギアス 反逆のルルーシュR2」が放映中、リンクはこちら

―― 「相手の目を見て命令するだけ」で相手を意のままに操ることができる、時には人を自殺させることさえ可能な特殊能力を持った主人公が、自らの信じるところに従って世界を動かそうとする。そんな過激な設定と、毎回必ず山場を作るエモーショナルな展開で話題となった「コードギアス 反逆のルルーシュ」が、10代、20代を中心に絶大な人気を得ています。

 放送枠も、第1作目の深夜から、第2作目「R2」では日曜の17時台に“出世”して、ブームはさらに加速していますが、作品を作る際、若い人たちの気持ちをつかむために、どのような方向性があると考えましたか。

谷口悟朗氏

谷口悟朗(たにぐち ごろう)
1966年生まれ、愛知県出身。フリーのアニメーション監督、演出、プロデューサー。代表作は「無限のリヴァイアス」(1999年)、「プラネテス」(2003年。この作品で星雲賞を受賞)、「ガン×ソード」(2005年)などがある。深夜枠の番組ながら大人気となった「コードギアス 反逆のルルーシュ」(2006年)で注目を集め、続編の「コードギアス 反逆のルルーシュR2」が日曜夕方5時からMBS、TBS系列で放映中(2008年8月現在)
(写真:鈴木 愛子、以下同)

谷口: 「コードギアス」を作るにあたって、まず最初にやったのはリサーチだったんです。今のお客さんが望むものは何か、彼らの心の在り方は。それは自分たちが10代だった頃とどう違っているのか。最初は、若い人に支持されている映画や、テレビ番組、舞台、小説を見ていたんですが、作品を分析しているだけではある一線以上は分からなくなってしまって、それで学校の先生に取材してみたんです。

―― 10代からのお客さんをターゲットにするために、今の子供たちを知る学校の先生に話を聞くと。

 先生の目線から見たときに、今の学生さんの傾向はどういったものに映るのか。もしも私たちの頃とメンタリティがかけ離れていたら、もうその人たちに向けたアニメは作れないでしょう。だから確かめてみたんです。そうしたら、結果は……。

―― いかがでした?

 最終的に出した答えは「変わっていない」でした。今の世代がどうこうではなくて、変わっていないと。変わっていないからこそ、彼らに向けて発信できるなと思ったんです。

―― 今の10代は「ゆとり教育世代」「個性化教育世代」とも言われますね。経済的にもより豊かになりましたし、監督ご自身が少年の頃と比べたら、大きく変わった面もあるのではないかと。その辺りはいかがですか。

 確かに時代と共に変わっているものは存在しています。社会状況と環境が変わっていますから、おっしゃるように教育体制ひとつとっても、「管理教育」世代の私とは違いますね。「ゆとり教育」世代は競争心が欠けているとも言われたりしていますし。

 もしくは経済ですね。戦後復興期と高度経済成長期が違うように、バブル期と今の不況期も違う。

 各種ツールの誕生もありますよね。インターネットだったり、携帯だったり、ゲームだったり、そういった表層上の変化はあります。

 ただ、いろいろ取材をした結果、人間というものが持っている根っこの部分は変わってないなと思ったんです。というのは、私自身がもし10代後半から20代前半だったりしたら、確かに「そうなる」だろうと思うんですよね。

―― 「そうなる」、とは?

ツールは変わっても、欲望は変わらない

 常に携帯を手放せなくて、誰かからの連絡をすごく大事にしたりすると思うんです。でも、友達が大事、友だちが欲しいという気持ちは、今も昔も変わらないでしょう。時々、「携帯やゲームが子供たちをダメにしたんだ」みたいな説を見ますけれども、表層上のツールの変化が、人間のメンタリティを根本から覆すとは私には思えない。

 最近はさすがに減ったのかな。私たちが子供の頃から、自然に近い生活をするのが大事という言い方があって、子供の玩具もプラスチック製のものはダメで、竹とんぼだったり、たこ揚げだったり、自然のぬくもりが必要なんじゃないかと言われていて。

 でも、ツールって、結局その時代、時代のものであって、じゃあどこまで逆戻らなきゃいけないのといったら、最も自然に近い原始時代まで戻ることになりかねないじゃないですか(笑)。縄文、弥生まで戻ったからといって、そのときにすでに土器とか作られていますよね。そういったものまで否定するのかということになっちゃうと、人間が進んでいこうとする文明の過程を全部否定することになっちゃうわけで。ツールの変化はあくまで表層上のことでしかないと思うんですよ。

 それで自分としては、人間の根っこは変わらないというところに行き着いたと。その変わらない部分を探りにしていけば、10代に向けたアニメは作れるはずであろうと。

―― いつの時代も変わらない、人間の根っこというのは何だと思われますか?

 人間が生理として持つ三大欲求は、今も昔も変わらないですよね。それより大脳のもう少し外側にある欲求。お客さんは、「外に出したい」。もう1つは「取り込みたい」。大ざっぱに分けたらこの2つが大事だと思うんですよ。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長