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ブラックボックスの中に潜る

~ 科学者・小池康博 ~

  • 茂木 健一郎

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2008年8月26日(火)

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 時代の閉塞状況は、みんなが難しいことを避けていることから来ていると僕は思う。ブラックボックスを避けて歩いていると、だんだんできることが限られてくる。その状況を破るためには、本当はブラックボックスの中に潜ることが必要だ。

 今回お話を伺った小池康博さんは、プラスチックを使った高速通信用光ファイバーの研究開発をされていて、14年もの間、1つのブラックボックスに取り組み、大きなイノベーションを実現した。

 ブラックボックスに取り組んでいると、短期的には成果が出ないし論文も出せない。脳科学の分野でもそうなのだが、難しい問題はブラックボックスになってしまっていて、そこを巧みに避けて器用にやっている人が、意外と幸せになる。こういうことは、いろいろなビジネスの分野でもあると思う。

 ちゃんと物事を考えているときは、どんな人でも孤独なのだと思う。その考えている中で、問題を明確化して確定していく。少しずつでも進歩しているのかどうか、これは取り組む人の内面の問題である。小池さんの場合、14年間は外から見れば長いと言われるけれど、内面の感覚としては進歩し続けていたという。それを師匠と仰ぐ大塚保治教授も理解して許してくれていた。

 こうした姿勢は確かに現代においては少なくなってきている。例えばプレゼンテーションが上手であるといったような表面的なことが基準となって、すぐには評価されてないかもしれないが、地道に築き上げていくといったことがしにくくなっているし、しなくなってきている。

 しかし、本当のイノベーションはそういうこところからしか生まれない。ただ、そのときに、何の基準もなしにやるのではなく、「これは間違いなく出発点になる」という原理原則をつかんでいることが重要である。

 これは我々、脳科学の言葉で言う「安全基地」になると思う。それがあるから、暗闇の中で探索ができる。小池さんの場合、最新の論文ではなく、その探索を支えたのは1910年のアインシュタインの論文と、1950年のデバイの論文だった。

 今回のお話で、同業者として最も共感したのは、普遍性についてだった。よくメディアでは最先端の科学などという言葉で語られるが、その「最先端」が、一番最近に報告された研究、ありは一番直近のトレンドという意味だとすれば、それはファッションと変わらないと思う。

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つきつめろ、そして、つきぬけろ
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
8月26日(火)午後10:00~10:45
再放送
 総合 毎翌週火曜 午前1:00~1:44
     (月曜深夜)
 BS2 毎翌週水曜 午後5:15~5:59
 今、最もノーベル賞に近いといわれる日本人科学者の一人、慶応義塾大学理工学部教授・小池康博(54)。

 高速通信用プラスチック光ファイバーや液晶ディスプレイ用バックライトなどの研究開発で世界をリードし、「光を自在に操る科学者」として国際的な注目を集める。プラスチック製光ファイバーは安価で壊れにくく、住宅やオフィスに普及することで、高度情報化社会を大きく進展させると期待されている。世界の研究者が挑み、不可能だとあきらめた技術開発だったが、小池は14年をかけて成し遂げた。

 科学者・小池が最も大切にしている流儀は、「根本的な問いに立ち返る」こと。研究が行きづまった時、目の前の壁を乗り越えようと小手先の解決策に頼りがちだが、小池は例えば「光とは何か?」という根本的なところから考え直す。

 結局はそれが真理にたどり着く近道だと信じるからだ。小池はこの流儀を、全く成果を生み出せなかった30代の長い挫折の日々の中でつかみとった。

 番組は、大手化学メーカーと組んだ共同開発プロジェクトに密着。小池は若い学生たちとタッグを組み、従来の常識を覆す実験に臨む。

 未知の領域に挑む科学者魂を描く。


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