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はからずも予言の書?~『総理の辞め方』
本田雅俊著(評:近藤正高)

PHP新書、840円(税別)

  • 近藤 正高

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2008年9月3日(水)

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総理の辞め方

総理の辞め方』本田雅俊著、PHP新書、840円(税別)

 9月に入ってすぐ福田首相が辞任を表明した。一体何があったのか、首相の会見を見ただけではまだよくわからないが、あまりにも唐突だということは間違いない。

 まあ、8月初旬に、首相と麻生太郎氏とのあいだで政権禅譲の密約があったとする説がささやかれた時点で、この政権もそんなに長いことはないなとは思っていたが、まさかこんなにも早く終焉が訪れようとは思わなかった。ちょうど同じころ本書を上梓した著者は、果たして事態をどこまで予想していたのだろうか。

 本書は、そんな一夜にしてタイムリーになってしまった「総理の辞め方」というテーマを通して戦後の歴代首相を紹介するものである。

 この手の本はえてして首相の業績に対し高みから評価を下しがちだが(その最たる例は福田和也の『総理の値打ち』だろう)、本書は批判すべきところは批判しつつ、どの首相に対しても慰労の拍手を送るという姿勢で書かれている。

 たとえば、史上2度目の社会党首班内閣で首相を務めた村山富市(トンちゃんという愛称でも親しまれた)は、在任中に起きた阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件への対応のまずさから、その危機管理能力が問われた。本書でも当然ながらその点については指摘されている。

 だが著者は、村山が実は首相就任の前年、1993年の総選挙には出馬せず、椎間板ヘルニアを患った夫人に孝行することを宣言していたというエピソードを紹介し、さらにはその文章の終わりにこんな一文を記している。

〈トンちゃんは紛れもなく市井の人なのである。ちなみに、阪神・淡路大震災のとき、ヨシヱ夫人は村山にも内緒で被災地に赴き、一般の人たちに交じって黙々とボランティア活動に従事していたという。ある意味で似たもの夫婦なのかもしれない〉

 著者は内閣官房副長官の秘書などを経て、現在、政策研究大学院大学准教授を務めているが、少なからず政治の前線で活動していたからこそ、このようなきわめて人間くさいエピソードを添えることを心がけたのではないだろうか。

信念を貫いた人、未練たらたらな人

 このトンちゃんも含めて、著者は冒頭で戦後の歴代首相の辞任劇・退任劇を、以下のように6つの類型に分けている。かっこ内はそれらの類型に該当する首相の名だ。

  • 「美しき辞任」(鳩山一郎・石橋湛山・岸信介・池田勇人・小泉純一郎)
  • 「淡白な辞任」(東久邇宮稔彦王・鈴木善幸・細川護煕・村山富市)
  • 「結果責任による辞任」(片山哲・芦田均・佐藤栄作・宮沢喜一・安倍晋三)
  • 「未練のある辞任」(幣原喜重郎・吉田茂・海部俊樹・羽田孜・橋本龍太郎)
  • 「再起を目指した辞任」(田中角栄・福田赳夫・中曽根康弘・竹下登・森喜朗)
  • 「流れに逆らえない辞任」(三木武夫・大平正芳・宇野宗佑・小渕恵三)

 興味深いのは、辞任の類型が同じだからといって、政権担当期間も同じぐらいだというわけではないことである。たとえば、石橋内閣は東久邇宮・羽田に次ぐ憲政史上3番目の短命政権だったが、石橋と同じく「美しき辞任」に分類される小泉は、周知のとおり、佐藤・吉田に次ぎ戦後3位となる長期政権を担当した。

 もちろん、上記のような著者による首相の分類はかなり主観的なものだ。たとえば、日米新安保条約の成立をきっかけに岸信介が政権を退いたのを「美しき辞任」だとするのは、その直前まで国民のあいだで激しく展開された反安保闘争を考えれば、首をひねる向きもあるだろう。また、岸自身としても憲法改定という最終目標があったわけで、まったく未練を残さずにやめたわけではけっしてなかったに違いない。

 本書では「未練のある辞任」に分類されているが、意外や「美しき辞任」ともいえるのではないかと感じたのは、1994年に約2カ月だけ非自民連立政権を率いた羽田孜の辞任劇である。

 羽田内閣は発足直後より、当時野党だった自民党から不信任案を突きつけられ、その可決はあきらかという局面に陥っている。このとき、羽田には不信任案が可決されても衆院を解散し、国民に信を問うことで政権の延命をはかるという道もあった。というか、政界ではそれが常套手段なのだが、結局、羽田はそれをしなかった。なぜか?

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