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「失敗」と書いて、「せいちょう」と読む~『野村再生工場』
野村克也著(評:朝山実)

角川oneテーマ21、705円(税別)

2008年9月5日(金)

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野村再生工場──叱り方、褒め方、教え方

野村再生工場──叱り方、褒め方、教え方
野村克也著、角川oneテーマ21、705円(税別)

 東北楽天イーグルスの野村監督は、コーチには「なるべく教えるな」と言うそうだ。教えるのが仕事なのに、これでは時間をもてあましそうなものだが、理由は、

〈選手が自ら考えることをしなくなるからである〉

 人間は失敗してこそ自分の間違いに気づくもの。気づく前に言われても頭には入らない。

 何が問題なのか。疑問に思い、考えるようになって、はじめてコーチの出番となる。

 そのときまで待て、と野村監督は言う。逆に、選手が訊いてきたときには絶対に突き放してはいけない、とも。

〈選手が自ら教えを乞いにくるときは、選手の向上心や知識欲が最高潮に達しているときだからだ。(中略)聞き入れ態勢が整っているから、スポンジが水を吸い込むようにコーチの言ったことを吸収する。その結果、見違えるような成長を見せることがある〉

 それでも、技術を教えるにはまだ早い。最後でいいという。

 なぜなら、自分で工夫しないと、言われたことしかできない選手になるからだ。

 楽天は昨年4位、今年のペナントレースでも前半戦では首位争いに加わるなど、お荷物球団を変貌させた手腕が買われ、野村監督の本の出版が相次いでいる。

 2月に出た前著『ああ、阪神タイガース』では、阪神の監督として成功した星野仙一と自分とでは何が違っていたのか、星野にあって自分に足りなかったものを非常に冷静に分析していたのが面白かったが、本書では「人が変わる」きっかけをテーマにしているのが興味深い。

 弱小球団なりの戦方や、一度お払い箱となった選手の活用術など、読者によっては既知の部分もあるにせよ、著者ならではの語りの妙味で、野球ファンならずとも得心する点は多い。

 読むほどに著者の「観察力」「洞察力」の鋭さにびっくりしてしまうが、そんな野村監督でさえも、ときには見誤ることもある。昨年、38歳にしてホームランと打点の二冠王となった山﨑武司についての逸話が面白い。

おたがいに最悪の先入観から出発

 野村は当初、山﨑に対して、先入観をもっていた。生意気で、やんちゃで、不真面目。つまり、嫌いなタイプ。いっぽうの山﨑も、野村の監督就任を聞いて、「これでおれの現役生活も終わりだ」と悲観したそうだ。

 楽天での監督就任1年目の春季キャンプでのこと。ミーティングの翌日、野村は山﨑を呼びつけた。

「おまえ、昨日おらんかったろう」

「いえ、監督の隣にいましたけど」

 野村は、山﨑がサボったとばかり思い込んでいたのだが、打撃コーチの池山に訊ねてみても、山﨑の言うとおりだった。目立つはずの存在が、緊張して控えめにしすぎていたからか。

 野村の「誤解」はこれだけではなかった。

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