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「水」から冷静に読み解く環境問題
~「水文学」をご存じですか

新進気鋭の水文学者、東京大学沖教授に聞く

2008年9月11日(木)

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 温暖化問題が叫ばれて久しいが、現実に起きている環境問題は、「水」に関係するものが多い。今夏に各地を襲っているゲリラ豪雨、ミャンマーのサイクロンなどの自然災害、世界各地で起こる水不足など、挙げだしたらきりがない。洪水や渇水、水質汚濁など、水にまつわる環境問題を考える際に欠かせないのが「水文学」(すいもんがく)の視点だ。

 水文学とは、水の循環を考える学問のこと。地球上の水は、海、川、湖、地下水や氷河、水蒸気など、姿を変えながら循環している。水文学は、この水の循環を分析しながら、それぞれの地域での水のあり方を研究する。新進気鋭の水文学者、沖大幹・東京大学生産技術研究所教授に、水問題の現状を聞いた(沖氏の略歴、研究分野などはこちら)。

-- 環境問題というと、イコール「地球温暖化」ではないかと思うくらいですが、沖先生の視点から見ると、環境問題と水問題はどのように関連しているのでしょうか。

 いま人類が直面している環境問題の多くは、ほぼすべて水に関係しているといっても過言ではありません。環境問題の多くは、人口の増加と、その人口の都市への集中、経済発展に伴う資源消費の増大が駆動力となり、結果として食料や水の問題として顕在化しているのです。ですから、水問題は世界的には、非常に大きな問題になっています。

水の未来 世界の川が干上がるとき あるいは人類最大の環境問題

沖大幹・東京大学生産技術研究所教授が監修した『水の未来 世界の川が干上がるとき あるいは人類最大の環境問題』フレッド・ピアス著、日経BP社、2300円(税別)

 アジアやアフリカを中心とした途上国では、人口の急激な増加と経済発展とともに、水の需要が増大しています。人口は都市に集中し、水需要の偏在化も加速し、渇水のリスクが増大しています。同時に、食料需給が増大し、灌漑(かんがい)用の水需要も増大しています。

 水問題は食料問題と裏腹の関係にあるので、ひとたび水不足になると、広範囲にわたって影響が出てしまいます。

 水は少なすぎる場合だけでなく、多すぎても問題です。生活に必要な水を得るため、あるいは舟運が重要な交通手段であったこともあり、世界各地の大都市の多くは河川の近くで発展してきました。都市の発展に伴い、雨季や洪水のたびに水浸しになる可能性の高い氾濫原の多くも、農耕地から居住地へと開発が進んでいます。こうした地域は洪水に対して脆弱。台風やハリケーンなどの熱帯低気圧や集中豪雨などによる洪水で水災害が起きてしまいます。2000年の東海豪雨災害はその典型ですし、アメリカでも2005年のハリケーンカトリーナによる被害には同様の側面があります。

 世界的には、持続可能な発展を左右するとまで言われる水問題。ところが日本は、水への問題意識が希薄です。

水の豊かさは降水量より頻度が重要

-- なぜ日本は水への問題意識が薄いのですか。

 日本は水が豊かな国だからです。

 日本では梅雨に多くの雨が降りますが、乾燥しがちな冬でも、毎月のように雪や雨が降ります。雨が降る頻度が高いことは、年間降雨量が多いことにも増して重要です。安定して利用できる水の量は、年間どのくらいの雨が川や地下水に流れ込むかではなく、雨の量が少ないときに利用できる水の量に依存するからです。

 日本の緯度は、ヨーロッパでいえば地中海の北アフリカ側と同じくらい。中央アジアでいうとゴビ砂漠よりやや南に位置します。本来ならば、もっと乾燥していてもおかしくない緯度なのですが、アジアモンスーンや日本海をわたって来る冬の季節風のおかげで、1年を通して湿潤な気候を保っています。

沖大幹・東京大学生産技術研究所教授

 そして四方を囲む海と国土の大半を占める森林、海に注ぎ込む大小多くの河川が、高い頻度で雨水をもたらし、豊かな水循環を支えてくれているのです。

 例えば、日本以外のアジアモンスーン地域の多くでは、6~9月の雨季の4カ月間に年間降雨量の8~9割が降り、大半がそのまま川を通じて海へ流れ出してしまいます。溜め池などがなければ、乾季には水不足に陥りますし、溜め池の水も大部分が蒸発してしまいます。そのため、乾季には地下水に頼らざるを得ない状況になってしまうのです。

 地下水は河川の水と違って、長い期間かけて溜まったもの。くみ上げ続けると枯れてしまいやすいのです。2003年に国際的なニュースになった、インドでの農民とコカ・コーラ社の地下水をめぐるあつれきなどには、こうした背景があるのです。

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「「水」から冷静に読み解く環境問題
~「水文学」をご存じですか」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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