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街で発見! 一瞬で伝わるコミュニケーションの極意

「ピクトグラム」から考えるストレス知らずの都市計画(前編)

2008年9月11日(木)

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 「ピクトグラム」をご存じだろうか。毎日といってよいほど私たちが目にするものだ。例えば、駅などで見かける“男と女”はトイレの意味。歩道に設置されている“タバコに赤い丸枠と斜線”は路上禁煙の意味。情報や注意などを視覚的に伝えるこうしたマークがピクトグラムだ。

 絵柄による情報伝達の機会は、街でピクトグラムを見る以外にも私たちの生活の中で増えている。最たる例がメールの絵文字だろう。文字のメッセージを強調させる効果があるとされる。とはいえ、軽い気持ちで絵文字を使い、怒ってはみせたものの、必要以上に相手に気を使わせてしまった経験はないだろうか。意図した情報を伝えるには、絵文字も使いようといったところだ。

 その点、ピクトグラムのデザインは、私たちのコミュニケーションの参考になる部分が多い。単純でありながら正確な情報を利用者に伝えることが使命だからだ。道案内のピクトグラムなどは、人が絵文字情報を入手してから移動するまでに伴うストレスをいかに軽減するかを考えた上でつくられる。

 今回は、様々な公共施設のピクトグラムを生み出してきた村越愛策さんに登場いただき、その歴史やデザインする上で着目すべき要素について語っていただく。ピクトグラムデザインの草分けが考える情報伝達のコツとはどんなものだろう?

--このところ禁煙の条例化やバリアフリーの促進から、禁煙地帯や車いすを示すピクトグラムを街中でも見かけるようになりました。言葉を使わずに意味を伝えるのがピクトグラムの特徴ですが、世界中どこへ行っても通じる代表例として思い付くのが非常口のサインです。

村越:いまでは世界中で目にする非常口のピクトグラムですが、発祥は日本なんですよ。

 日本でも以前は「非常口」とか「非常階段」といったように漢字で示されていました。別にそれで問題ないと思うかもしれません。けれども、いざ火事だとか緊急事態が起きたとき、字の読めない外国人や子どもは困るわけです。

村越愛策(むらこし・あいさく) 1931年旧満州国生まれ。千葉大学工学部卒業後、フリーランスデザイナーとして活躍。羽田空港や成田空港をはじめ、東北・上越新幹線、私鉄、地下鉄の駅、病院といった公共施設のサインやピクトグラムの作成に携わる。元・千葉大学教授。

村越愛策(むらこし・あいさく) 1931年旧満州国生まれ。千葉大学工学部卒業後、フリーランスデザイナーとして活躍。羽田空港や成田空港をはじめ、東北・上越新幹線、私鉄、地下鉄の駅、病院といった公共施設のサインやピクトグラムの作成に携わる。元・千葉大学教授。

 実際、1972年に大阪の千日デパート、翌年に熊本の大洋デパートで相次いで火災事故が起き、それぞれ100名以上の犠牲者が出てしまった。

 いろいろ調査した結果、非常口がどこにあるかわからなかったことが多数の犠牲者を出した原因のひとつとして挙げられました。確かに煙が立ちこめていたら、漢字だけのサインでは識別がつきません。そこで慌てて政府が非常口のデザインを公募し、それをもとにデザイナーが仕上げたわけです。現在は日本の案がISO(国際標準化機構)に選ばれ、国際標準になっています。

東京オリンピックから街に普及

--ピクトグラムの重要性が認知されていくようになったのですね。日本にピクトグラムが導入されたのは、いつ頃なのでしょう。

村越:本格的にピクトグラムが導入されたのは、1964年の東京オリンピックのときです。オリンピックともなれば、外国からたくさん観光客がやって来ます。ところが日本人は英語をあまり話せないし、海外からやってくる外国人に日本語の会話能力を期待できない。唯一の共通点といったら一目でわかるピクトグラムを主としたサインだけ。

 さて、どうしようかとなっても、政府は手をこまねいているだけで、特に何かする気配もない。

 そこで勝見勝さんという評論家がディレクターとして競技施設や競技種目のピクトグラムを提案したわけです。東京オリンピックで使用されたピクトグラムはそれ以降のオリンピックに強い影響を与えました。「ピクトグラムの国際リレー」と呼ばれたほどです。

 ピクトグラムという未開拓の領域は、民間主導で切り開かれたわけです。いまでも政府は道路にはお金をかけているのに、街の景観や歩きやすさ、公共サインやピクトグラムには関心がない。あまり昔と変わりませんね。

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