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あなたの“クレーム”電話を切らせる裏ワザ~『私をクレーマーと呼ばないで』
多田文明著(評:朝山実)

アスキー新書、743円(税別)

2008年9月25日(木)

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評者の読了時間2時間00分

私をクレーマーと呼ばないで

私をクレーマーと呼ばないで』 多田文明著、アスキー新書、743円(税別)

 特集を急遽変更するとかで、インタビュー原稿が掲載されないまま、お蔵入りしたことがある。打ちあわせのときには、好青年だった編集者は、ワタシの問い合わせの電話に弁解を重ね、やがて居留守を使うようになった。仕事のお金が振り込まれたのは、1年半後のことだった。

 フリーでライターをしていると誰しも理不尽な体験があるものだが、そんなときに本書の著者はガンガン電話をかけるという。

 担当者はいつも不在。取り次いだ人が、あとで本人に折り返させるといっても、いっこうに連絡がない。ならば、今度は電話を受けた人の名前を聞き、その人に用件を伝えてもらったかどうかをしつこく確認する。外堀を埋める作戦で、未払いの原稿料を勝ち取ったという話をつい熟読してしまった。

 本書は、街角の怪しい勧誘にのる潜入ルポ『ついていったら、こうなった』が話題となった著者の新刊で、いわば「クレームをつけてみたら、こうなった」にあたる。

 おかしいんじゃないか!?

 停めていた原付バイクをレッカー移動された。違反は認める。けれども、駐輪場はどこにあるのか。告知は不十分で、数も限られている。黙って反則キップにサインしたのでは、駅前の駐輪問題はいっこうに解決されることはないと、窓口の警察官に改善すべき点をあげていく。

 1時間あまり、著者がやりあう横で、何人もの違反者たちが、さっさとサインして帰っていく。対面する警察官は、うんざり顔。さっさとサインしろよ。それでも、怯まない。

 見ようによっては著者の振る舞いはドン・キホーテである。元全共闘の父親が奮闘する、奥田英朗の長編小説『サウスバウンド』を思い浮かべてしまった。

 闘う相手は大手の電話会社からピザの配達まで、日常のありとあらゆるもの。

オペレーターは自分で電話を切ってはいけない。なので…

 たとえば、ある焼鳥屋チェーン店でのこと。テーブルの呼び出しボタンを何度押しても、注文を聞きにこない。店は満席。ようやく店員の一人を呼びとめ、

「ボタンを押して10分以上たっても誰も注文を取りに来ない。もしかしてこのボタンの電池が切れたのではないでしょうか?」

 そう言って、店員の目の前でベルを数回押してみた。すると、

「押すのは一度にしてください!」

 もの凄い剣幕で怒鳴り込んできたのは、「店長」の名札をつけた男性だ。

 わざわざ客を叱りにくるくらいなら、なぜ10分も待たせるのか。というわけで、店長と著者らの睨み合いとなる。

 ありそうな光景だ。理路整然とした質問返しで、店長はぷいっと奥に引っ込んでしまう。

 言い負かしたからと快哉するわけではない。友人と楽しく語らう時間を台無しにされた後味の悪さが残るばかり。でも、言うべきことは言わずにおられない。

 あるいは、ネット銀行のカスタマーサービスに電話したが、なかなかつながらない。電話をかけるだけで昼休みが終わってしまうではないか。ようやくつながったと思ったら、

「その辺りについては、当社のホームページをご覧ください」と繰り返すばかり。言葉遣いは丁寧だが、パソコンのない環境で電話するなよと言わんばかりの対応。やがて突然、返事がなくなる。呼びかけても、無音。

 オペレーターは、自分から切ってはいけないと教育されている。だから「切れた」と思わせて、客の側から切らせる裏ワザだとか。つまり、厄介なクレーマーとしてみなされたということだ。即座に、電話をかけなおす。とことん質問を浴びせるのが、著者の本領だ。

 著者は、本書を通して「クレーム力」を鍛えよと提言。模範例として、こんな知人の体験談をあげている。

 駅の改札口を出たところでゲロに足を滑らせ、転倒した。駅の助役は、

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授