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「いくら農家が正直なものを作っても、需要がなければ続きません」

国産紅茶「水車むら農園」(静岡・藤枝市)の挑戦(2)

  • 若井 浩子

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2008年10月1日(水)

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 「僕が父から農園を引き継いだのは平成7(1995)年。すでに無農薬栽培の農産物や茶葉の市場(産地直送の会などの卸、インターネット直販など)も一般的になっていましたから、作っても売れないというようなことはありませんでした」。水車むら農園の二代目、臼井太樹さんは語る。

 臼井家は江戸時代から300年以上続く農家。山林や果樹林を持ち、茶畑は「水車むら」を名乗るずっと以前の100年以上前からあった。

 その茶畑で、先代の臼井太衛さんが日本茶の優良種「やぶきた」(*1)を栽培し始めたのが昭和30年代。循環型農業の復興を目指して有志とともに「水車むら会議」を設立し、農園を「水車むら農園」として活動し始めたのが昭和50年代だ。

 そして、無農薬無化学肥料で栽培してきたやぶきた種で紅茶生産を始めたのが「五月紅茶」のパッケージ裏の文章(前回の記事参照)にあるように、昭和60年(1985年)からだった。

 「ですから、明治の頃から(国策としての輸出用の)紅茶を作っていたわけではありません。水車むらの活動の一環として、新規に紅茶事業を始めたのです」(太樹さん)。

(*1)「やぶきた」は杉山彦三郎(安政4年 静岡県の漢方医の家に生まれる)が多田元吉(徳川幕府の旗本士族で、維新政府の命で紅茶産業の興業に尽力)の協力のもとに品種改良を経て生み出した日本茶種。現在、日本茶園の多くを占めている優良品種。紅茶葉としても美味。

日本茶木「やぶきた」の紅茶から、紅茶木「べにひかり」「べにふうき」まで

 「紅茶生産を始めた85年当時、水車を動力として穀物を挽く設備を導入していたことのほか、古い緑茶用の製造機械があって紅茶作りに転用できました。それに、それまで無農薬の緑茶を買ってくれていた団体から無農薬紅茶の製造を希望する声があったのです。

手前は日本茶にもなる「やぶきた」種の畝。その向こうの濃い緑が「べにひかり」種の畝。総面積1万8000平方メートルの茶畑で年間10トン(紅茶4トン、日本茶6トン)の茶葉を栽培している。

手前は日本茶にもなる「やぶきた」種の畝。その向こうの濃い緑が「べにひかり」種の畝。総面積1万8000平方メートルの茶畑で年間10トン(紅茶4トン、日本茶6トン)の茶葉を栽培している。

 つまり、作れる設備があり、買ってくれる人がいて、原料(茶葉)も供給できる態勢があったので紅茶作りに着手したわけです。初生産から生産量は急増し続け、93年にようやくひと息ついて、僕が農園を引き継いでからは安定的に微増という感じです」(同)。

 やぶきた種の紅茶の生産販売が伸びたことから、水車むら会議の役員は静岡県の茶業試験場から紅茶用の品種「べにひかり」種(*2)の苗を譲ってもらうことにした。農園ではその新規導入した苗を育て、92年にべにひかり種の紅茶も製造し始める。

 その後、98年には「べにふうき」(*2)の苗を入手し2001年から製造を始めている。「『べにふうき』は、枕崎(鹿児島)の農業試験場から取り寄せました。話は静岡県の経済連を通して進め、苗木の代金は農協に支払うかたちでした」(同)。

 現在、農園の茶畑2町歩、1万8000平方メートルのうち、3500平方メートルでべにひかり種、500平方メートルでべにふうき種の栽培をしている。

(*2)「べにひかり」「べにふうき」は、第二次大戦後に中国種とアッサム種の交配から生まれた。「べにひかり」は耐寒性が強く茶葉の風味も爽やかな優良種だが、品種登録されたのは日本の紅茶が輸入自由化により第一幕を下ろした昭和46年(1971年)だった。「べにふうき」は平成5年(1993年)、日本紅茶の第二幕の幕開けと期を同じくして登録された。

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