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昔「日本を侮るな」、今「米国を侮るな」

『ラーメン屋vs.マクドナルド
 エコノミストが読み解く日米の深層』

  • 横江 公美

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2008年10月1日(水)

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 これはB級グルメ本ではない。「エコノミストが読み解く日米の深層」という副題が語る通り、文化、政治、宗教、経済・金融にまたがる日米比較論のエッセイだ。日経ビジネス オンラインでの連載記事をベースに全面的に加筆・再編集したものだ。

 本のタイトルはややキャッチーだが、本書の4割程度を占める経済・金融の議論を読むと、著者が骨太なエコノミストであることがよく分かる。ところが、その骨太なエコノミストが日米のアニメから映画まで語り、月面宙返りのような巧みさで文化論を展開する。その意外性に満ちたギャップがそのままエッセイになっている。

「米国賛美派」「サブプライムざまーみろ派」のどちらでもない

 ラーメンを極め、多種多様なラーメン食文化を生み出す日本人と、マクドナルドで標準化を狙う米国人という類型は、経済事象にとどまらず政治、社会現象にも、思考パターンにもあてはまる。どうやったら、こんな類型化を思いつけるのかしら、と思ってしまう。著者の平明な論理は高い教養に裏打ちされているが、竹中流の展開にはスノビッシュな(嫌味な)味は微塵もない。知恵は謎を解くためにだけ動員され、無駄なことは削ぎ落とされているからだろう。

 ラーメンは大好きだけど、時にはマクドナルドも食べたくなる。つまり、私たち日本人にとって日本文化は何ものにも替え難いけれど、米国的要素にも価値がある。この本には、日本人としての日本への「執着」と外国人としての米国への「共感」が詰まっている。この立ち位地は、実は、日本の米国論ではなかなか出合えない。

 特に経済・ビジネスでは、グローバリズムの波の中、米国発の経済理論、ビジネスモデルが称賛されてきた。国際政治学でも米国賛美系が多い。一方、賛美系の反対勢力としてアンチの米国論者も多い。サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)危機を「ざま~見ろ」と言わんばかりに「米国の凋落」を語る論者が、雨後の竹の子のごとく登場しているのはご存じの通りだ。さらにもう1つ、日本と比較することなく純粋に米国を伝える純粋系も存在する。

 著者はいずれにも属さない。強みと弱み、それを生み出す双方の背景の違いを理解したうえで、日本人にとって意味のある読み解きを提供する。

 いずれの章も痛快だ。第2章の「希望を語る大統領vs.危機を語る総理大臣」なんて、思わず膝を打ってしまうほど。ここでは、日本の週刊誌の表紙の見出しと米国のそれとの比較から始めている。「危機」や「崩壊」などのネガティブ用語に溢れる日本の特徴を指摘する時にも、単語数を数え、日本では76:24、米国では56:44という事実を提示している。きちんとファクトに基づいて論理を展開しているのはまさにエコノミストの実証的手法である。

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