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『コスプレ──なぜ日本人は制服が好きなのか』 三田村蕗子著、祥伝社新書、760円(税別)
先日、ワタシの住んでいる町内でボランティア活動を始めることとなり、会合に出席したところ、さっそく意見が割れた。
「みんなが着るジャンパーはどうする?」
発注先は、中学や高校の制服を扱っている、商店街の中央にあるY洋品店。背中に入るマスコットキャラクターとキャッチフレーズも公募のもの。会議で決めなければいけないのは、ジャンパーを何色にするのか。
見本の中から選ぼうという、それだけのことなのだが、高齢者組と若干の青年団(すでに中年なのだが)で、意見が分かれた。激論を交わすわけではない。うーん、と腕組し、考えているふりをして牽制しあうのだ。
そもそも、揃いのジャンパー姿をイメージするだけでワタシなんぞは気おくれてしまっていた。まあ、なきゃないでゴミ袋をもったオッサンどもが街をうろうろしているのも人目をひきそうだが。
さて、話題をかえて。「パンツの壁」もさっさと崩壊してほしい、と著者はいう。なお、下着ではなく、このパンツはズボンのほうを指す。
たとえば、ナースといえば「白衣の天使」を浮かべてしまう。条件反射のようにして。このときの天使はスカートと決まっている。
しかし、なぜスカートなのか。なぜ白で、それも膝丈なのか。
視線を気にしなければいけない服装だと著者はいう。屈んだりしたときに下着が見えたりしないか、透けないか。機能性からいうと、パンツのほうが優れているはずだし、欧米ではパンツが主流となりつつあるのに、日本でいっこうに「白衣の天使」は衰える気配がない。
ナースはスカートだという思い込みを、著者は皮肉まじりに「パンツの壁」と呼んでいる。
スカートを支持したのは意外にも……
ちなみに「白衣の天使」の生みの親は、ナイチンゲール女史だ。クリミア戦争に看護婦として志願、従軍したときに、白帽に白のエプロン。もともとメイド服だったものをユニフォームにしたのだという。
そのとき彼女が考えたのは、看護婦だと識別しやすいこと、娼婦と間違われないこと、そして専門職・プロフェッショナルの女性であることを強調する。この3点だったとか。
日本で看護婦が誕生したのは、それから30年遅れ、1884年(明治17年)。当時、夏は浴衣、冬は黒地の着物の上に白衣を着用し、草履を履いていた。ナイチンゲールスタイルが普及したのは昭和に入ってからで、以来、基本的には大きな見直しもなくやってきたという。
いっぽう、アメリカでは90年代に入って「スクラブ旋風」が起こった。動物やファンシーなキャラクターをあしらった柄物の半袖プルオーバーにパンツを組み合わせたナースウェア(アメリカの医療ドラマなどでよく見かける)が流行。色のバリエーションも豊富で、一人平均20着を、とっかえひっかえ着用しているとか。
白衣特有の威圧感もないし、天使のセクシーさもない。このスクラブ、日本にも導入しようという動きはあるのだが、なかなか浸透しないらしい。
著者の取材によると、日本で最初に採用した聖マリアンナ病院では、患者には好評だが、職員の意見は真っ二つに分かれたという。
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