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あなたのその命、数えてみたら“60兆”

細胞が感じるストレスを解明--団まりな氏(前編)

2008年10月9日(木)

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 これまでこのコラムでは、コンピューターや気象、貨幣経済によるストレスといった事例を取り上げてきた。読者にとってもストレス発生のメカニズムを知るうえで身近なテーマだったと思う。そして、今回取り上げるのは「細胞とストレス」だ。

 細胞は、電子顕微鏡で見ないとわからないくらい小さいものだ。それほど身近な存在には思えないかもしれない。普段の暮らしの中で細胞について考える人はそう多くはないだろう。

 だが、人間の体は60兆あまりの細胞からできている。意識して考えることは少ないが、細胞は、人を語る上で欠かせない存在なのだ。

 地球に生まれた様々な物質が「生命」と呼ばれる形として活動を始めたのは、細胞がつくられたからこそだという。その初期の頃、いまでは人に欠かせない酸素は、じつは生物にとって猛毒だったともいう。酸素というストレスに抗して生き抜き、進化した細胞が、いまの人間をつくっているのだ。

 細胞は、猛毒で満ちたストレス世界をいったいどのように耐え抜き、さらには毒を生命にとって必要不可欠なものに転換していったのか。それを知るため、千葉県房総半島の南端、館山在住の生物学者・団まりなさんのご自宅を訪ねた。

 東京から特急で約2時間、さらに車で15分。海岸沿いの道から折れて谷合にさしかかると、眼前には収穫を終え、案山子の立つ田んぼが扇状に開けた農村風景。海からの風はどことなく潮の香りがする。“里山”を見渡せる小高い住処で、団さんはわれわれの到着を迎えてくれた。

--空気の美味しいこんな里山にいると、ストレスを感じることもなさそうですね。都会の暮らしの慌ただしさを実感します。

団:ここは暮らすには最高ですよ。自転車で館山の市街地まで往復1時間ぐらい掛かるから買い物は大変ですけれどね。母が建てた家なのですが、数年前からここに夫と暮らし始めたんです。午前中は自分の書斎で仕事。午後は毎日、目の前の田んぼや畑で汗水流しています。イネは昨日かりとったばかり。ゴーヤとかトウモロコシとかは、毎日収穫しています。

団まりな(だん・まりな) 1940年東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。大阪市立大学教授を経て、現在、「階層生物学研究ラボ」の責任者として研究を続けている。主な著書に『細胞の意思:<自発性の源>をみつめる』『動物の系統と個体発生』『生物の複雑さを読む:階層性の生物学』『生物のからだはどう複雑化したか』『性のお話をしましょう』など。

団まりな(だん・まりな) 1940年東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。大阪市立大学教授を経て、現在、「階層生物学研究ラボ」の責任者として研究を続けている。主な著書に『細胞の意思:<自発性の源>をみつめる』『動物の系統と個体発生』『生物の複雑さを読む:階層性の生物学』『生物のからだはどう複雑化したか』『性のお話をしましょう』など。

 私もたまに用があって東京湾アクアライン経由で東京へ行くけれど、海を渡ってトンネルから出たときのあの空気といったら! 不純物が体の中を絶えずめぐるのだから、子供が病気のひとつやふたつ罹ってもおかしくありませんよ。

--いま私たちの細胞も、新鮮な空気を吸って活力を得ているのかもしれませんね。本題に入りますが、団先生は長らく細胞について研究されてこられました。「細胞とは生命の実体だ」と著書の中でも書かれています。こんな空気が新鮮で緑の青々とした場所にでも暮らさないかぎり、私たちは滅多に「細胞レベルで生きているんだ」ということを実感する機会がありません。細胞が生命の実体であるとは、いったいどういうことなのか、この点から説明していただけますか?

団:ごく簡単に言えば、細胞は生命の“最小単位”であり、生命の“肉体”だという意味です。

分子では見えず、細胞で見える生命

--「最小単位であり、肉体である」。これが「細胞が生命の実体」の意味ですか。実体とは、それ以上さかのぼることのできない、確かなものという意味ですよね。生物学では細胞よりも小さい分子レベルで生命の仕組みを解き明かそうという動きが主流のようですが?

団:だから「細胞は生命の実体だ」といっても、そんなものは「言い方に過ぎない」みたいな感じで受け取られてしまいます。 

 でも、考えてみてください。生きているものは必ず細胞からできているし、細胞があれば、それは必ず生きています。そして、分子や原子の段階まで細かくしてしまうと、もはや生きている姿を見出すことはできません。だから、細胞が生命の実体だと私は言っているのです。

 どんな生物も必ず細胞でできていて、それが集まることで、より高度な能力がいろいろ積み重なって生きています。そういう意味で細胞と生命はほとんど同義語です。しかし生命は“こと”であって、“もの”でないことはみなさんお分かりですよね。

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