• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

祝!ノーベル賞、理論物理学の世界を覗く

『対称性 レーダーマンが語る量子から宇宙まで』 レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル著 小林茂樹訳 白楊社 3200円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

バックナンバー

2008年10月17日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

『対称性 レーダーマンが語る量子から宇宙まで』  レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル著

『対称性 レーダーマンが語る量子から宇宙まで』 レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル著

 今年のノーベル賞を得た小林誠教授、益川敏英教授の成果は「対称性の破れ」の説明に成功したこと。それがなければビッグバンの直後に、物質と反物質の接触があって、すべては光となって、消滅するはずだった。

 ところが、ちょっとした対称性の破れがあって、いくつかの物質が残った。この対称性の破れのおかげで、宇宙には銀河系ができ、太陽系ができ、地球が生まれた。

 私たちが夜空に見る現在の宇宙の姿が出来上がったのは、すべて、ビッグバンの直後の対称性の破れのおかげだった。対称性の破れとは一体なんだろう。

 本書の著者の1人レーダーマンは、ノーベル物理学賞受賞者だ。邦訳書には『神が作った究極の素粒子』(草思社)があり、活発な著作活動で理論物理学のポピュラー化に努めている。

 レーダーマンによれば、自然界をちょっと観察するだけで多くの「対称性」が見つかるという。数学にも物理にも、対称性がある。シンメトリーという英和語でいった方が分かりやすいかも知れない。

 そもそも数式で=(イコール)で結ばれたものは対称である。だから数学的に表せる現象は対称性を持つ。

 しかし、自然の中には自発的に対称性を破ろうとする力もある。学者たちは「メキシコ帽子(ソンブレロ)のポテンシャル」と言ったりする。ボウル型のソンブレロのてっぺんにビー玉をそっと置く。ビー玉は系のちょっとした揺らぎ、風は吹いたり、人が触ったりすると、どちらかの方向に落ちる。いつ、どの方向に落ちるかを、イコールで結ぶような数式で表すことは出来ない。ソンブレロの上のビー玉は対称性が破れているのだ。

 もう1つ例を挙げれば、良く削って芯を尖らせた鉛筆を芯を下にして紙の上に立てたとする。鉛筆はいつまでも立ってはいない。どちらかの方向に倒れる。ここでも、いつ、どちらの方向に倒れる、ということを数式で著すことは出来ない。対称性が破れているためだ。このたぐいの対称性の破れを、自発的対称性の破れという。

 ビッグバン直後の宇宙は、あたかも、ソンブレロの上のビー玉や、尖った鉛筆の先で立っている鉛筆のように不安定で、自発的対称性の破れを起こしたのだ。その結果現在宇宙を形づくっている物質が生き残り、今、ここに我々は存在している。

コメント0

「書物漂流」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック