「風通しの悪い職場」を一言で表すと、交わされるコミュニケーションの少ない職場だということができると思います。
このとき大事なのは、もちろんコミュニケーションの質もありますが、まずは量です。情報を伝達しあう“パス”さえなくならなければ、要はコミュニケーションさえ消え失せなければ、多少の誤解も乗り越えられるし、一緒に未来に向かって進んで行ける。
とすると、「どうすればコミュニケーションが発生するのか」を考えることが、職場の風通しをよくする上では重要になります。
世の中には、いわゆる“ムードメーカー”がいます。ムードメーカーは、周りがどうであれ、とにかく話すことができる。しかも場の雰囲気をしっかり作れる。
風通しをよくする方法としては、そういう人をとにかく見つけてきて、職場に入れるやり方があります。その人の存在が職場の雰囲気を変え、全体の生産性を上げるのであれば、実務の能力は平均的でも、ムードメーカーを採用したり、異動してきてもらったりという戦略を打ち立ててもよいかもしれません。
また、今いる社員の意識改革を促す方法もあります。周りと積極的に話をしようという意識をひとり一人の社員に持たせることができれば、全体としてもっとコミュニケーションは増える。
意識に働きかけるだけではなく、コミュニケーションを増やすためのスキルや視点も付与していく。それが更なる意識改革につながる。
職場の改革は、社員個人の意識改革から。これは、この連載の中でたびたび論じてきた「あなたの意識が変われば、職場の風通しはよくなる」という考え方のスタンスです。
「1人でできない」が言葉の源泉
今回は少し角度を変えて、「どういう条件の時に人はコミュニケーションを起こすのか」という視点から、コミュニケーションを増やし、風通しをよくする方策について考えたいと思います。
まず、「そもそも人はどのようにして人とコミュニケートするようになったのか」を考察してみます。つまり、「最初の人類は、どんなきっかけで、どんな必要性があって言葉を使い始めたのか」です。
学者によっても諸説がありますし、もちろん、言葉が誕生する瞬間を目撃した人は誰もいません。私は人類学者でも言語学者でもないわけですが、推論を試みると……。
人間は、ひとりでは成し遂げることができない何かの課題に直面したとき、誰かを誘い込もうとします。協力を仰ぐ必要性が生じた場合、他人に頼み事や相談事を持ちかける。
人類のコミュニケーションの始まりにも、同様の事情があったのではないかと思うのです。
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