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叱られないことを、寂しいと思えッ!~『宇津木魂』
宇津木妙子著(評:朝山実)

文春新書、740円(税別)

2008年10月29日(水)

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評者の読了時間3時間00分

宇津木魂──女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか

宇津木魂──女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか』 宇津木妙子著、文春新書、740円(税別)

 第一線を退いたいま、宇津木監督は、ソフトボールの普及活動で小学校に出かけていっては、実技指導をするのが楽しみだという。

 子供たちを前にして先ず、三つの約束をしよう、と話しかける。

 一つ目は、大きい返事。

 二つ目は、監督の目を見て話を聞く。

 三つ目は、呼ばれたら走って集合する。

「一人が遅れたらみんなに迷惑をかけちゃうんだぞ」

 とハッパをかけ、参加者全員で「チーム」だということを意識づける。そしてすぐに、トレーニングに移るのだが、

〈「はい、立てっ」「はい、座れっ」と順番に立ったり座ったりさせます。「はい、立てっ」「はい、座れっ」「はい、座れっ」そうすると、立ってしまう子がいる。

「ほら、おまえらもう監督が言う前から準備しているだろう。そうじゃない、まず脳を動かしてちゃんと監督の言うことを聞いて、理解してからやるんだ」

 と言ってきかせます〉

 厳しい指導で知られる監督だが、ところどころでウィットに富んでいて、恐いだけの監督ではないことがわかる。

 本書は、北京オリンピックの女子ソフトボールの金メダルの立役者・上野由岐子選手が所属する「ルネサス高崎」の総監督を務め、シドニー、アテネ両オリンピックで日本代表を率い「女子ソフトの育ての親」とまでいわれる著者による、指導者哲学の本だ。

男っぷりのいいオンナ

 指導者にとって、必要なことは何か。著者が繰り返し説いているのは、緊張感を保つこと、そして選手を平等に扱うという二点だ。

 緊張感に欠けた選手を見つけると、怒鳴る。叱る。ときに、張り飛ばす。鬼監督そのもの。

 たとえば、北京オリンピックの開会式で女子ソフトの選手がポールに登って厳重注意を受けたときのこと。関係者は誰も選手を厳しく叱らなかったと聞いて、テレビ解説者として現地入りしていた著者はグラウンドで一人ひとりに説教をしたという。

 立場としては「前監督」。叱るべき立場かどうかを考えてしまいそうなものだが、言わずにはおられない、迷う前に行動する人なのだ。

「ダメなのをわかってて、何やったんだぁーッ」

 宇津木前監督のものすごい剣幕に、関係者がなだめようとすると、怒りはさらにヒートアップ。率先して浮かれた選手をつかまえ、大声で、

「おまえ、ちゃんと叱ってもらってるかッ」

「いいえッ」

「寂しいと思えッ。叱られないとはどういうことか分かるかッ」

 男がやさしくなった時代に、思い切り叱る「男っぷりのよさ」。マナーの問題もそうだが、それ以上にチームとして、事をそのままにしておいては、練習に集中できなくなる。引きずるおそれのあることは断ち切らねばならいし、選手のことを可愛いと思えば、その場で叱るのが指導者の責任だという。

〈勝てば官軍で、いまはすっかりこんな事件は忘れられています。だからこそ、その場で叱らなければならないと思います〉

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