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皆既日食が起こる絶海の小島

『吐カ喇列島 絶海の島々の豊かな暮らし』 齋藤潤著 光文社新書 860円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年10月29日(水)

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 日本は島国だが、本州に暮らしている限りは、島に暮らしているという実感はなかなか得られない。しかし離島に行くと人口密度は低いし、ちょっと王様になった気分が味わえる。

 絶海の離島の海辺に出て、誰も聴く人はいないのだから、大声で「○○馬鹿野郎め!」とストレスの元になっている人物の名前を、思いっきり大声で叫ぶ。だれも文句は言わないだろう。

 これから、一連の離島の人口数を上げていく。119人、136人、80人、49人、71人、51人、119人。なんと過疎な島だろう。この人口の少ない島は、『日本書紀』の冒頭にも登場する。そこには、

「吐火羅国男二人女二人舎衛女1人被風流来干日向」

 と記されている。吐火羅とは、日本の南海に列をなして連なるトカラ列島のことである。

 トカラは屋久島と奄美大島の間にある小さな島の連なりだ。そして、先ほどの超過疎の島々は、みなトカラ列島に属しているのだ。

 列島の連なりは南北百数十キロに及ぶ。行政的には7つの有人島と5つの無人島からなる十島村(じっとうそん、あるいはトシマムラ)という。船着きの波止場がひとつ、それと役場か公民館に延びる道。それだけの島々だ。

 著者はトカラの島々をゆったりと回る。スケジュールのある渡船は、週に一度ほど。それも、台風の季節には、銀座といわれているほど台風来襲が多い。渡船はたちまちストップする。いつ帰れるのか分からない宙ぶらりんの神経に耐える人物だけが、トカラに渡ることが許されているのだ。

 島々には固有の民族風習が生きている。悪石島(アクセキ、71、数字は人口以下同様)にはボゼというマカ不思議な来訪神がいる。まさに異形の神だ。鬼でもなく、怪物でもなく、親しみやすいとはお世辞にもいえないカミだ。折口信夫なら何と表現するだろうか。カミはカミである。ボゼは旧暦7月16日に出現する。ボゼは島を回り子どもや女性をさんざん脅かして回る。

 『十島村誌』には、ボゼは十島村のいずれにも出現したが、今はアクセキ島にしか残っていない。新盆で使者を思う心を断ち切る役目を果たす、仮装カミなのだそうだ。なくなった人のことをぐずぐず思うのはやめて、前を向いて生きなさい、という優しいカミでもある。

 もうひとつ、諏訪之瀬(スワノセ、49)には、世界的に有名なバンヤン・アアシュラマがある。といっても何のことか。バンヤン・アシュラマとは「ガジュマルの樹の下の祈祷所」、という意味だ。カウンター・カルチャーが盛んな頃、ここにドロップアウトした人々が集まって集団生活をしていた。どんな生活か。

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