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“成功”と“自由”のために本を読みたい人へ~『読書進化論』
勝間和代著(評:和良コウイチ)

小学館101新書、740円(税別)

  • 和良 コウイチ

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2008年10月31日(金)

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評者の読了時間1時間30分

読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか

読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』 勝間和代著、小学館101新書、740円(税別)

 いまや「カツマー」と称されるリピーターが続出中の経済評論家、勝間和代の最新刊新書である。

 昨年、出版された新書『お金は銀行に預けるな』が39万部の販売部数を記録し(2008年8月時点)、出版不況の最中、ベストセラー作家の仲間入りを果たした彼女は、読書によって成功と自由を手に入れたという。タイトルには『読書進化論』とあるが、内容的には『読者進化論』と言い換えてもいい。

 つまり、〈「ウェブ」という破壊的なテクノロジーが現れたことで、私たちの読書のしかたは抜本的に変わってしまいました〉という前提の下、ウェブを積極的に利用し、読者が単に読み手として進化するだけでなく、読み手から書き手へと進化し、書き手でありながら売り手でもあるような進化が求められているのだ。

 本書の章立ても、『進化している「読む」技術』『「書く」人も進化する』『「売る」仕組みを進化させる』と、その3段階を追うような構成となっている。

 まず「読む」では、ウェブと本の特性を分析し、それぞれをいかしてどのように使い分ければいいかなどが示されている。続く「書く」では、ブログという新たなテクノロジーによって、私たちが書き手として進化するため、分かりやすく書く技術を紹介している。もともとブログを出版社に見出されて本を書くようになった著者が、アウトプットの重要性を綴っているのだ。そして「売る」では、これまで出版業界では本の魅力を伝えるためのマーケティングが不足していたことを指摘した上で、これまで著者自身が行なってきた実験結果などを紹介している。

 なるほど、確かに、プロアマ問わず物を書く人間や、広く出版業界にいる人間にとっては、益多い一冊かもしれない。ただ、多くの一般読者にとっては、「売る」を自分の問題として引きつけて考えるのは難しいだろうし、「書く」のもブログでそれなりの質を維持するのは、少しハードルが高いだろう。だとすると、やはり関心の核は「読む」ことに退行(?)することになるのか。

「投資と回収」「目的意識と時間効率」を念頭に

 そもそも物書きを生業にしている私はもとより、このウェブサイトを毎日チェックしているような方々は、著者に言われなくても、常に本を手にしているような読書家が多いだろう。著者は、読書を薦める理由をこのように書いている。

〈いやな上司の下で、つまらない仕事を唯々諾々とやるのは、とても苦しいことです。これを、本の力、勉強の力を使って自力をつければ、そこから自分で環境を変えられる可能性が出てきます。そして、究極的には、「努力が報われる環境」とは、すなわち人生の自由度につながるわけです〉

 ポイントは、著者にとっては“読書≒勉強”であり、読書は“環境を変えるためのツール”であることだ。

〈私は基本的に、時間に対してとてもケチなのです。ですから、時間を投資したものについては、何らかの形で回収しようとします。……よく「本を読め、本を読め」といいますが、「読んだ本の成果は仕事や生活で活用しなければいけない」と、私はずっと思ってきました〉

〈本を読むときに目的意識を持っているのといないとでは、まったく読書の時間効率が違ってきます。アジェンダ(検討課題)を設定しないミーティングが、だらだらしがちであるのと同じで、本を読むときには、その本の著者とどういう話をしたくて、何を質問したいのか、という意識を持つことが重要なのです〉

 一見して、非の打ち所の無い主張に思える。それが“お勉強”としての読書ならば、であるが。

コメント17件コメント/レビュー

ヒラリーさんをそんなにいぢめないで!(2008/11/08)

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ヒラリーさんをそんなにいぢめないで!(2008/11/08)

和良さんの「かすかな違和感」に激しく同感しました!私も彼女の「お勧め本」を見るたびに、詰まらない人だなぁと感じてきました。確かに成功に繋がるノウハウは詰まっているかもしれませんが、実利主義になりすぎると人としての深みがなくなる気がします。それでも結果を出している彼女の文章から学べることは多いですが。(2008/11/07)

評者和良さんが,今の勝間ブームの中,あえて否定的な言葉も含む評を書かれたことに敬意を表します。ここまで読書に投資効果を求める勝間氏は,読書に限らず,全ての面で人生を楽しむということの意味をたぶん理解していない人なのだろうと想像します。食事に喩えると,おいしいかまずいかではなく,役に立つか否かだけで食べるものを決める,そういう人なんでしょうね。▼「成功」はもともと,人生を楽しく暮らすための手段であったはず。でも,勝間氏に限らず,「成功本」の類いでは,成功それ自体が自己目的化します。その結果はと言えば,成功のための努力に全ての時間を注ぎ続けて,何も楽しいことのない人生…できることと言えば,成功した自分にうっとりすることぐらい,というまるで一昔前の映画で繰り返し描かれたストーリーのようなことになりかねません。▼時間を「消費」するだけの人はダメ人間だと思いますが,かといって「投資」ばかりの人間も空疎です。読書を投資としてしか行えない人は,正直「かわいそうな人」としか思えません。(2008/11/04)

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三品 和広 神戸大学教授