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『発言小町』たちが与えてくれる意外な感動
~ネット時代の井戸端会議

2008年11月5日(水)

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発言小町――誰にも聞けなかった女の悩み

発言小町――誰にも聞けなかった女の悩み』竹書房、1200円(税抜き)

 近所同士のつながりが薄い上に、外国人の多い地域で育ったため、界隈の大人が集まって、他愛のない話に花咲かす井戸端会議を目の当たりにしたことが私にはない。

 隣家には自我が堅く、几帳面な典型的ドイツ人、商売上手で押し出しも強いインド人がいた。たまに交わす雑談でも子どもなりの意見を求められる始末。モゴモゴしては侮りを受けるばかりと発奮したはいいものの、その努力の向かう先が間違ったのか、いつしかたんなる雑談であっても「論点を明確に話さないといけない」というような、強迫感を持つようになり、気付いたら普通に何気なく話すコミュニケーション能力がゼロになっていた。

 人間関係を円滑にするのは、明確な目的のある会話ではなく、「いい天気ですね」というような益体のないおしゃべりが多いし、特に目的なく話す中で立ち上がる事柄に案外いろんな発見があるものだ。

井戸端会議の可能性

 そういうことを長ずるに従い痛感したせいだろう。本書のような、井戸端トークで、どうでもいいヒマネタから人生上の大問題まで多数の人間がよってたかって「ああでもない、こうでもない」と輪唱のように語るスタイルに、論理だけでは見いだせない問題解決の可能性を感じてならない。

 本著は読売新聞のオンラインサイトにある女性向けの掲示板「発言小町」のトピックを収録したものだ。

 「発言小町」は「男女」「子供」「働く」などの10個のジャンルにわかれている。閲覧すれば、嫁姑問題は古くていまなお新しい問題であること。些細な生活習慣の違いが結婚生活に亀裂を走らせるなど、なるほどと腑に落ちたり、身につまされる話題も多い。1日の投稿数約3000件。月間1億PVという数字に人気の高さが表れている。

 掲示板の中でも人気のあった話題を取り上げたものが本書だが、「弟とスーパーに買い物してるところを好きな人に見られました」という中学2年女子の甘酸っぱい悩みや、箸にも棒にもかからない詞を書く元彼に曲を依頼されたというトホホな話。また10年来の引きこもりを身内に持つ家族からのシビアな相談、20年来の長い片思いを実らせよう努力する50代男性など、20のトピックが収録されている。

 女性向け掲示板ということもあり、不倫の話題に関しては既婚者と思しき人からの感情的なレスが目立つ。ただ、ほかの掲示板と異なり、オンラインでの投稿時、編集部がすべてをチェックした上で掲載しているため、本書でもときおり罵りの言葉は見られても、過度の誹謗中傷や荒らしを目にすることはない。

盛り上がる議論の共通点は?

 それぞれの悩みへのアドバイスや反論、賛同を読むことで、読み手も共感なり反発を覚えるという楽しみ方ができる。だが、それだけではもったいない。

 たとえば、「夫の携帯電話を無断で見る妻たち」と、携帯電話の覗き見は可か否かという話題では、浮気の問題も絡み、それぞれの投稿者のヒートアップぶりが窺える。そのくだりを読んでいて、“人が議論で盛り上がれるのは、どういう話題を耳にしたときだろうか?”という疑問が浮かんだ。

 身近に共感できる投稿であったり、あまりに突飛な事例だったりと、提議された内容の親近性や新奇さに左右されているように一見思える。

 だが、評者の見たところ、実は理解できるかどうかにかかわらず、読み手がよく考えないまま、善し悪しの基準でつい判断したくなるトピックがいちばん盛り上がっている。

 たとえば、弟が高校以来、10年間引きこもりで、どうすればいいかわからないという相談がある。相談者の姉はその経緯についてこういう。

〈本人も何とか立ち直ろうと、通信制の学校へ行ってみたり、教習所へ通ってみたり、短期のアルバイトをしたりしたようですが、すべて途中で挫折しました。(中略)もともと心優しい子で、他人のちょっとした言葉に過敏に反応するところがあります。最初の不登校も、担任の心ない一言がきっかけだった〉

 これに対する最初の投稿者は、相談者の家族がひきこもりをさせたと指弾した上で、両親の話し合いなど〈なんの解決にもなっていません。シカトしていれば嵐が過ぎるのを知っているからです。要するに、少し小ズルい単なるアマちゃん。それを許容しているのが家族です〉と続ける。さらに、対策は簡単で、電気ガス水道を止めて放り出せばいいという。

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