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深まりゆく秋の日、雑木林をさまよう

『武蔵野』国木田独歩著 デカ文字文庫 舵社 600円(税抜き)

  • 松島 駿二郎

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2008年11月6日(木)

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 森歩きはいい。かつてミュンヘンでドイツ人の友人に、森の散歩に行こう、と誘われた。市街電車の終点まで行くと、もうそこは一面の雑木林に覆われた原野だった。

 友人の友人と数人が示し合わせて、その終点から歩き出した。ひたすら歩くだけ。倒木をまたぎ、落ち葉を踏みしめ、当てもなく歩き続ける。道はない。2~3時間も歩いたろうか、落ち葉の上に座って、ゼンメルというパンにハムを挟んだだけの簡素な昼食をとり、道なき道を、また歩き続ける。

 空気はバイエルン・アルプスからの吹き下ろしで清澄そのもの。目的地も何もなく、ただ雑木林を歩くのみ。何を話すでもなく、時折、秋の鳥が木立を裂くように羽音を響かせる。それだけ。週末の数時間の林の散歩は、ドイツ人たちには欠かせないようだった。散歩の後は、おきまりのビール。ストレスフリーの週末の散歩だ。

 こんな散歩をしている最中に、ふと、国木田独歩を思い出した。名著『武蔵野』である。

名高い一節を『武蔵野』から引いてみよう。

 「されば君もし、一の小径を往き、たちまち三条に分かるる処に出たなら困るに及ばない、君の杖を立ててその倒れたほうに往きたまえ。あるいはその路が、君を小さな林に導く」

 地図もなし、案内もなし、従って、ストレスゼロの散歩が楽しめたのだ、武蔵野という東京に隣接した土地は。

 国木田独歩は稀に見る名文家である。味読に値する文章が綴られている。

 この書物で描かれている雑木林は一体どこのことなのか。道玄坂を登って、現代の世田谷あたりだという。鬱蒼たる雑木林に覆われた世田谷の住宅街を想像してみたまえ。上馬あたりには馬に因んだ名を持った場所がある。

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