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この本がレジ脇に山積みの理由~『もう一軒 おつまみ横丁』
瀬尾幸子著(評:朝山実)

池田書店、1000円(税別)

2008年11月7日(金)

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評者の読了時間3時間00分

もう一軒 おつまみ横丁──さらにおいしい酒の肴185

もう一軒 おつまみ横丁──さらにおいしい酒の肴185』 瀬尾幸子著、池田書店、1000円(税別)

 ミステリー小説を読んでいて、そこに出てくる食べ物が食べたくなることがある。食べたい度合いが高いのは、手の込んだ料理などではなく、たいてい誰でも簡単に作れそうなものだったりする。

 たとえば、藤原伊織の『テロリストのパラソル』のホットドッグがそうだし、最近なら佐藤正午の『アンダーリポート』のリンゴのせトーストだ。

 焼きあがった食パンに、櫛状にスライスしたリンゴをのせただけ。小説の筋はうろおぼえだが、リンゴの酸味とトーストの食感がいい具合で、いまや朝食の定番となり、ときおりマーガリンを塗ったりしてアレンジしている。

 シンプルなメニューといえば、こんなマンガが静かなブームを呼んでいる。安倍夜郎の『深夜食堂』だ。「ビッグコミック」の連載をまとめたもので、いま2巻まで出ている。

 場所は、とある繁華街の片隅で深夜に店を開いている、カウンターだけの食堂。わけありげな主人が、間に合わせの食材を用い、客の注文で一品をつくる。タコの形のウィンナー炒め、一日寝かした「きのうのカレー」、炊き立てのごはんにかつぶしと醤油をかけた「猫まんま」、昔ふうのナポリタンに、ポテトサラダ、タマゴサンド、秋刀魚の塩焼き……。

 客はそれぞれ席に着くや「いつもの」と注文する。その仕種、食べ方から、客の物語が見え隠れして、短編小説ふうの空気を生み出している。

 とりわけ食指が動いたのが、山盛りのオニオンリングだ。

 常連の若者客は、まずレモンを絞り、塩とコショーをふって腹を落ち着ける。次にソース、ケチャップ、マスタードをからめ、ビールを片手に、いかにもうまそうに口に運んでいく。

 そして、すこしだけ残したものを、卵とじにしてもらって平らげる。読みながら、唾がこみあげた。誰もが食べた味をネタにしているあたりは、美食を売りにしたマンガの対極をいっている。

 さて、長い前置きになったが、この料理本のシリーズがびっくりするくらい売れているのは、試してみたくなる読者が多いからだろう。

カンタンなのに、なんかプロっぽい

 「たこのガーリックソテー」に「しらすとししとうのペペロナンチーノ」、「あじフライ」から「わさびおにぎり」まで、居酒屋メニューを集めた『おつまみ横町』はすでに50万部を売り上げたという。本書はその続編である。

 ちなみに池田書店といえば、実用書の出版として知られる老舗。1960年刊行の『性生活の知恵』は、戦後を象徴するミリオンセラーとなった。

 料理の本といえば、雑誌サイズの大判がポピュラーだが、これまでのジョーシキを打ち破った「新書」の造りが人気のポイントらしい。コンパクト。それでいて器に盛り付けられたカラー写真が見た目にもきれいで、食欲をそそられる。

 パラパラとめくっているうちに、今晩はこれだな、あ、こっちもいいな。なじみの居酒屋で、本日のおすすめメニューを眺める気分。

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