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鍼って痛いの? お灸って熱いの?~『ツボに訊け!』
寄金丈嗣著(評:朝山実)

ちくま新書、720円

2008年11月17日(月)

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評者の読了時間3時間00分

ツボに訊け!──鍼灸の底力

ツボに訊け!──鍼灸の底力』 寄金丈嗣著、ちくま新書、720円

「鍼灸治療院は、お寿司屋さんに似ているかもしれません」

 と著者はいう。

 一、入りづらいから、誰かに連れられて行ったりする。
 二、治療家(板前さん)によって、得意な疾患(ネタ)や治療スタイル(調理法)が異なる。
 三、治療家との相性次第で印象が変わる(静かに食べたい人もいれば、板さんに叱られながら食べるのが楽しみという人もいる)。

 もうひとつ、値段がわかりにくい。その点、保険が使えて、毎日でも気軽に行ける鍼灸接骨院・整骨院は、回転寿司に相当、患者さんの回転も早い。

 なるほど、うまいことをいう。

 著者は、高校時代からフリーライターをはじめ、明治大学を卒業後、専門学校に入りなおして鍼灸師・指圧師の資格を取得。出版企画会社を主宰しながら、鍼灸治療も行っている。1963年東京都生まれ、プロフィールの写真を見ると、「赤ひげ」を思わす髭面で、目の辺りに愛嬌がある。

 「鍼灸」にはワタシ、何ら興味はなかったのだが、書店でつい買ってしまったのもこの顔と、「ですます」文体なのに、ときおりサブカル臭がしたからだ。パラパラとめくっていたら、こんなページに出会った。

〈鍼灸のことなんて知らないライターが、こっそり訪ねる治療院見手覧〉

 早い話が、ミシュランの鍼灸版。

 ★先生の対応がよかったか。
 ★主訴は治ったか。
 ★治療院の居心地はよかったか。
 ★値段は満足できるか。
 ★また来院したいか。

 全部揃えば、最高点の★5つ。以前、著者が鍼灸治療の専門誌を発行していたときの看板ルポだったらしい。取材にあたるのは、編集長の命をうけたギャルノリの自称「美人」ライター。

え? ブラもとったほうがいいの?

 鍼灸界というのは、〈学術的対立から人間関係的対立まで含めて、盛んに分派活動を繰り広げているのが実態なのです〉

 閉じた、外からはわかりにくい、鍼灸の世界を身近に理解してもらおうというのが、本書の意図だそうだが、なにげに読みはじめたら、おもろいのだ。

 身分を隠した潜入ミッション。編集長からは、ぜったい取材とバラしてはいけないと念押しされた手前の後ろめたさと、「いいか怪しいことしやがったらただじゃおかんぞ」てなGメン的意気ごみ。そこへ自分の身体を張ることの不安がごっちゃになっている。

 彼女がいつも悩むのは、「服脱いで」といわれるたび、ブラジャーは外すのか着けたままでもいいのか。鍼灸院のドアを開ける瞬間の息遣いから、料金の支払いにいたるまでドキュメンタリーに綴られる。たとえばこんな具合。

〈「肩凝りでしょ、肩に鍼しますからね」

 そう言いつつ、いんちょー先生は振り向いて、しっかり私の胸にチェック入れんの。ま、男の人だからしょうがないか。そういうところ、私は割りと寛大。減るもんじゃないし〉

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