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相手の行動の奥底を読み取る

~ 認知症介護・大谷るみ子 ~

  • 茂木 健一郎

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2008年11月18日(火)

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 今回お話を伺ったのは、福岡県大牟田市で認知症のお年寄りの介護をされている大谷るみ子さん。大谷さんは、自分がどれくらいきちんと向き合えているかどうかの反応が、認知症の方は正直に出るとおっしゃっていた。子供もそうだが、認知症の方は自分を取り繕うことをしない。

 そういう意味では、認知症介護の現場では、言語的でないノンバーバルなコミュニケーションを通して、案外ストレートなかたちで人間関係ができているのだと感じた。

 大谷さんのお話をうかがっていると、その内容はすべての人間関係にあてはまる。相手の言葉尻にこだわるのではなく、全体を見なければいけないといったことや、ある行動の奥底にあるものを読み取らなければならないといったことだ。

 何か不可解な行動や適切でないと思われる行動があったときに、その行動自体を否定するのではなく、「その行動は“できる”」ととらえて、では「できないことは何か」に着目するという。これは認知症介護だけの問題ではなく、自分自身も含めすべての人間にとって大事なことだと思う。上司と部下の関係でもそうだし、夫婦の関係でもそうだ。

 人間の脳は、何かが「ある」時にその「ある」ものに着目することはできるが、「欠けていること」に思いを至らせるのは意外と難しい。行動の表面だけを見るのではなく、「何が欠けているからこういう行動になるのか」というところまで含めて考えるのは、仕事も含めすべての分野に通じることだ。

 単に加齢で脳が衰えて、能力が低下してしまった人を助けるという意味以上に深い問題が、認知症介護の現場にはあるのだと感じた。

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介護は、ファンタジー
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
11月18日(火)
午後10:00~10:43
再放送
 総合 毎翌週火曜 午前1:00~1:44
     (月曜深夜)
 BS2 毎翌週水曜 午後5:15~5:59
 今や、全国に200万人いると言われる認知症。その介護の現場で全国から注目される女性がいる。大谷るみ子(50)。福岡県大牟田市でグループホームのホーム長を務める。入居しているのは、家族だけでは介護が難しくなった認知症の人たちだ。そんなお年寄りが、ここではなぜか笑顔になる。

 大谷は、地域をも巻き込んだ介護のスタイルが評価され、視察や講演依頼が殺到。全国に先駆けて始めた「認知症コーディネーター」の育成は、認知症対策の先進例として、注目されている。

 認知症が進行すると、記憶力や理解力が低下し、コミュニケーションをとるのが難しくなっていく。根本的に治す方法はまだない。そんな認知症のお年寄りたちと向き合うとき大谷が拠り所とするのは、「心は、生きている」ということ。認知症になって様々な能力が失われても、多くの場合「感じる心」は残っている。徘徊や暴言などの行動障害は、苦しい心の表れだと考えられている。

 日々、様々なことが起こる認知症介護の現場。 食事を口にせず、机に伏せたまま呼びかけに応じない女性。昼夜を問わない「徘徊」が目立ち始めた女性。大谷は、認知症のお年寄りたちの見えない心に、どう寄りそうか。涙あり笑いあり、人生のドラマが詰まった認知症介護の日々に、ホーム長として、ひとりの人間として向き合う大谷の仕事にせまる。


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