「ストレスで成長する!〜“元気力”のある“健康職場”を目指して〜」

研修を取り入れただけで、企業は安心していませんか?

個人の“ココロ”を大事にしない管理職研修はいらない

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2008年11月25日(火)

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 「管理職になったらやたらと研修ばかりで、なんだかなぁ、という感じ」

 去年の3月に管理職になった知人が、半ば呆れ顔でつぶやいた。中間管理職研修、マネジメント研修、コーチング研修、自己啓発研修、コミュニケーション研修。この数カ月だけで、こんなにもたくさんの研修を受けさせられたというのだ。

 「研修でロールプレイをやらされるんだけど、これがすごいストレスなんだよね。例えば、部下が『会社辞めたいんですけど』って言ってきたら、『なんで?』と聞いてはダメ。『ふうん、辞めたいんだね』と繰り返して、相手に詳しく話させるんだって」と彼は、言う。「研修をやっていると、部下に対してああ言ってはダメ、こう答えてはダメ、と言われるばかりで、なんだか訳が分からなくなってきた…」

 彼だけではない。巷の管理職たちが皆、研修の嵐に見舞われている。彼らは、明らかに研修に疲れている。研修が流行している(こういった表現が妥当かどうか分からないが)背景には、企業のスリム化やフラット化、雇用の多様化、プレイングマネジャーの増加といった、様々な企業体制の変化があるだろう。そして、それに伴う企業からの高い要求に、悲鳴を上げている管理職が急増しているのだ。

企業の研修は、誰のため?

 しかし、こうした研修の嵐に釈然としない気持ちになっているのは、知人だけではない。私自身、管理職向けのストレスマネジメント研修や講演会のお仕事を多数いただいている身なので、研修が増えることはありがたいのだが、正直言って、企業の研修に対する姿勢には疑問を持つことも多い。個人のココロをないがしろにして、企業の満足のためだけに、研修をやっているような気がしてならないのだ。

 こんな研修に、本当に意味があるのだろうか?

 世界的に著名な職業性ストレス研究者・カラセックら(1990)やクーパーら(1994)が提唱した「健康職場(Healthy organization)」という考え方が、近年欧米を中心に注目されている。

 「健康職場」とは逆説的に言えば、職場に過度のストレッサーがなく、あるいは本質安全化が図られているために、ストレス解消法に熱心に取り組んだり不断に細心の注意を払ったりする必要のない職場のことをいう。

 健康職場で働く労働者は、

・自己の成長を追求する姿勢が強く
・他者のことを自分のことのように考えられる思いやりを持ち
・チームに協力的、積極的、強調的で
・健康行動にも前向きに取り組み
・問題解決能力が高く
・明確な目標を設定されることによって、自己のゴール設定を行い
・そのゴールに向けた行動のスケジュールなどを、実行、管理できる

 とされている。

 これらは、まさしく企業が求めている人材だ。あるいは誰もが、こういう人物でありたいと願っていることだろう。

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著者プロフィール

河合 薫(かわい・かおる)

河合 薫博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『<他人力>を使えない上司はいらない!』(PHP新書604)



このコラムについて

ストレスで成長する!〜“元気力”のある“健康職場”を目指して〜

ストレスの多い現代社会。健康社会学者としてメンタルヘルス、産業ストレス、キャリアマネジメントなどを専門テーマとする著者が、職場でのストレスとの正しいつき合い方、ストレスに強くなる方法などについて考える。

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