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消費税22%、払う覚悟ありますか?~『フィンランド 豊かさのメソッド』
堀内都喜子著(評:清野由美)

集英社新書、700円

2008年11月19日(水)

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フィンランド 豊かさのメソッド

フィンランド 豊かさのメソッド』 堀内都喜子著、集英社新書、700円

 サウナ、サンタクロース、ムーミン、キシリトール、ノキア、それからシベリウス作曲のフィンランディア……と、私たちが知るフィンランドのキーワードは意外に多い。2006年にはフィンランドの首都、ヘルシンキを舞台にした映画「かもめ食堂」が人気を博したし、インテリア好きの間では、フィンランドも含めた北欧家具が“グッド・センス”の基準にもなっている。

 とはいえ元来は北欧の小国。日本人に限らず、一般には馴染みの薄い国がフィンランドだ。しかし、そんなフィンランドが近年、世界的に注目を集めている。きっかけは、2004年に発表された、経済協力開発機構(OECD)による国際的な学習到達度調査(PISA)。先進国を初めとする世界41ヶ国・地域で実施された調査では、フィンランドが総合1位となり、続く07年発表の同調査でも同じくトップの座に輝いた。

 それだけではない。05年発表の世界経済フォーラム(WEF)による国際競争力ランキングでも4年連続で1位を達成。アメリカのような大国や、その大国の衛星のごとき日本国がどんどんと行き詰る時代に、フィンランドでは次世代型社会への転換が進んでいるのだ。

 一体なぜ? そして、どのように? という興味に応え、フィンランドの大学院に留学し、現地の生活を肌で感じた著者がつづる素顔のフィンランドが本書である。

子どもは塾もお受験もない、大人は残業しない

 学習到達度や国際競争力ランキングでトップに就いて以来、フィンランドには世界からの視察が絶えないという。もちろん日本からも多くの人が行っているだろうが、学校教育や、社会の現場は日本とずいぶん違う。

〈フィンランドには「一生懸命」という言葉があるのだろうかと思うほど、生活はのんびりしていて、職場も学校もリラックスしている。子どもたちは午後一時、二時というと、もう授業が終わり、家路につく。宿題は毎日あっても、それほど時間をかけている様子は見られないし、二カ月の夏休み中はいっさい宿題がない。いったいいつ勉強しているのかと首をかしげずにはいられない〉

 日本にいると、残業帰りのサラリーマンに混じって、塾通いの小学生が暗い夜道を歩いていたりして、いったいいつ遊んでいるのかと心配になるのだが、フィンランドでは塾もお受験ブームもない。非競争的な環境は、大人が働く職場でも同じだ。

〈フィンランドが国際競争力世界一位になったと言うと、よく「じゃあ、フィンランド人はよく働くのか」と聞かれるが、それはまったく違う。たしかにフィンランド人は真面目にものごとに取り組むけれど、休むことも忘れてはいない。平均的な勤務時間は朝八時から午後四時まで。フレキシブルな勤務時間を設けているところが近年多く、九時に行けば五時に仕事が終わり、基本的に労働時間は七時間半。それ以外はあまり残業をしない〉

 そのような記述に接すると、競争激化時代に生き残らねばならぬ、とばかりに勉強に勉強を重ね、残業に次ぐ残業にいそしむ、わが国の子どもと大人って何? と思う。

 世知辛い生き残り競争から人間がまぬかれる社会とは、日本に限らず、成熟化した国が次に目指すべき理想ではある。当然のことながら、フィンランド型の理想的な社会は、自然発生したものではない。

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「消費税22%、払う覚悟ありますか?~『フィンランド 豊かさのメソッド』
堀内都喜子著(評:清野由美)」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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