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8. 私がいま、突然死んでしまっても、会社での反応は、きっと淡々としたものだろう。

木村紅美『風化する女』

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2008年12月3日(水)

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 日直のチノボーシカです。

 前回

 「同僚の前で給与明細を開けたことがないが、みなさんはどうか」

 とコメントをお願いしたところ、同僚がいる場で給与明細を開けるのは、べつにふつうの行為である旨、11月29日現在で、数件のコメントをいただきました。ありがとうございます。

 うち2件のコメントには、
 「他人の給与明細を覗き見などしないのが常識である」

 というご意見も添えられていたのですが、私が同僚の前で給与明細を開けないのは、なにも見られることを恐れてではないのです。理由が思いつかないけど、なんか開封できないのです。

 他人の前でお弁当を食べることができない子がいるそうですが、似たようなものかもしれません。変ですか? 変ですよね…。

 この連載、1920年代のプロレタリア文学から、いきなり21世紀の女性会社員小説に飛んでしまってますが、みなさん、ついてきてくださってるかしら。

 こんな感じで、毎度毎度バラバラな題材を扱いますが、なにとぞご寛恕くださいましね

 ところで、よく知られているように、女性の会社員をOLと呼ぶようになったのは、1963年のこと。オフィスレディという和製英語の略称だ。

モダンガール論

モダンガール論』斎藤美奈子著、文春文庫、690円(税込)

 その当時はBGと呼ばれていた。ビジネスガールというこれも和製英語の略称。Wikipediaを見ていたら、これはのちに『ノストラダムスの大予言』(1973)を書く五島勉が、ルポライター時代に作った言葉だと知って驚きましたよ。

 オフィスレディという名称は、『女性自身』誌が読者に募集したものの1位だった(先のWikipediaには、じつは1位ではなかったということも書いてあった)。

 斎藤美奈子の『モダンガール論』(2000)も指摘するとおり、

〈女性週刊誌というもの自体、電車通勤するBG層の増加をあてこんで創刊された雑誌である〉。

*   *   *

 前回、柴崎友香の『フルタイムライフ』の回で、女性会社員の服装ネタに触れた。

 いっぽうで、女性誌(『女性自身』などのいわゆる「女性週刊誌」ではなく「ファッション誌」)が提案する〈着回し〉は、いかにも現実味がない。

 逆に、東京ビッグサイトでの展示会で着せられた〈レンタルのレモンイエローのスーツ〉は、物件として「ありえない」」(そんな服を着て仕事するなんて考えられない)のに、それを着てコンパニオンまがいのことをさせられているのは、まぎれもなく「現実」なのだ。

 さて、木村紅美(くみ)のデビュー作『風化する女』(2006、文學界新人賞受賞作)は、会社員の服装の話から、生活全般の話に広がっていくという流れになっている。

 わが社の制服は紺色のベストとタイトスカートに、下は私服のブラウスやカットソーを自由に組み合わせて良いことになっていて、新人以外は、ほとんどがそうしている。もうこわいものなどないベテランには、ヒョウ柄や、うすくラメなど入った生地のものを着て仕事している人もいる。
 れい子さんは、ヒョウ柄やラメの人たちとキャリアは変わらないのに、いつも、支給された白いブラウスを、首もとのリボンも外さないまま着ていた。

風化する女

風化する女』木村紅美、文藝春秋、1200円(税込)

 植田れい子さんは、入社20年たっても一般事務職で、昇給もなく、この服装があらわしているとおり、社内ではこれといった自己主張をせずに、会社で黙々と働き続けていた。お昼もずっとひとりで食べていた。

 〈百数十名が働く総合商社で、まったく接点のない課に所属する私とれい子さん〉は、ごく短いあいだ(それもけっして毎日ではない)、会社の裏の喫茶店で昼ごはんをいっしょに食べていたことがある。

 ひとりのときは黙って文庫本を読んでいたれい子さんと、〈私〉こと時野桃子は、これといって仲良くなる理由もないけれど、たがいに相手のプライヴァシーに踏みこまない淡い交わりを、昼休みのあいだに持つことになったのだ。

 というのも、〈私〉もまた、同期入社の女の子たちと他愛ない話をするのが苦痛で、それだったらひとりで食べているほうが楽だったからである。

 ちなみに〈私〉は結婚したところで、会社では旧姓・時野でとおしているが、こんど社員旅行に行ったら、退社する予定だ。

 なぜ、れい子さんとのつきあいがごく短期で終わってしまったのか。

コメント2件コメント/レビュー

昔のことでうろ覚えですが、永六輔がラジオ番組で、人前で物を食べることは恥ずかしいことだと知れ、グルメ番組は恥を知れ、谷啓は絶対に人前で物を食べないぞ、みたいなこと言ってました。営業職の友人が急死した時、周囲はそれを名誉の戦死みたいに扱って、業績を伸ばしました。過労死の可能性だってあったのに。OL 2頭身キャラのorzみたい。(2008/12/04)

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いただいたコメント

昔のことでうろ覚えですが、永六輔がラジオ番組で、人前で物を食べることは恥ずかしいことだと知れ、グルメ番組は恥を知れ、谷啓は絶対に人前で物を食べないぞ、みたいなこと言ってました。営業職の友人が急死した時、周囲はそれを名誉の戦死みたいに扱って、業績を伸ばしました。過労死の可能性だってあったのに。OL 2頭身キャラのorzみたい。(2008/12/04)

会社で給与明細を開けるのを「当たり前だ」という方が何人もいらっしゃったというのにとても驚きました。給与明細を他人ーたとえほぼ給料がわかっている同僚であっても。決してのぞき見しないとしても、ですーーの前で開けるなんて、考えられません。それがマナーだと思っていました。家では、家族であっても給与明細を見せないし、開けません。(2008/12/03)

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三品 和広 神戸大学教授